2013年12月01日
常陸国風土記1300年記念!常陸国風土記の楽しみ方 『握り飯持ってどこへ行こう?』前編
常陸国風土記1300年記念! 常陸国風土記の楽しみ方 『握り飯持ってどこへ行こう?』前編
お腹がすく常陸国風土記 古代を味わおう!
※2013年11月16日(土)朝9:15-30 ラヂオつくば『つくばね自由研究クラブ』での放送内容を、再構築したものです。
常陸国風土記は、奈良時代の初め、「各地の風俗地理をまとめて提出せよ」という勅令が出てまとめられた文書の一つで、当時55ほどあった国(地域)の中で、現在残っているのはたった5つの国の風土記のみ。
その中の一つが常陸国風土記。近畿、東日本で、唯一残っている文書なのです!
常陸国風土記の特色は、美しく格調高い「べんれい体」という文章で書かれている等、難しい話もありますが、1300年前の生活も見えてくる楽しい資料でもあります。
今でいうピクニックや宴会のシーンが何箇所か出てきます。(歌ったり、踊ったり、お酒を飲んだり)
とうことで、ワタクシ的、常陸国風土記の楽しみ方!を2回に分けてお送りします。
題して 「握り飯持ってどこ行こう?」
その前篇「おなかがすく常陸国風土記。古代を味わおう!」です。
*******************************************************
1300年の昔から、この我が常陸国は海の幸・山の幸の食材が豊富だと、格調高く書かれています。
それでは具体的にどんなものがあるかというと・・・
【常陸国風土記の記載から】
水産物:
魚いろいろ(総記、行方郡、多珂郡)、鯉(香島郡 沼尾 寒田)、鮒(香島郡 沼尾 寒田)、
年魚(あゆ 久慈郡 山田)、鮭(久慈郡 助川)、
白貝(おう、行方郡 板来)、辛螺(にし、行方郡 板来)、蛤(うむぎ 行方郡 板来)、津白貝/いろいろな貝もの(つのう くさぐさのかひつもの 行方 板来の南の洲)、蜃(うむき はまぐり 那賀郡)、鰒魚(あわび 多珂郡)
塩(総記、行方郡(塩を焼く藻))、海苔(信太郡 乗浜)、海松(みる 行方郡)、海藻(め 多珂郡 藻島)
鳥獣:
鹿(信太郡 葦原、多珂郡)、猪(行方郡 当麻)、鴨(行方郡)、馬(行方郡…多分、食用でない)
農作物:
蓮根(はちす 香島郡 沼尾)、粟(筑波郡 筑波山「新粟(わせ)の新嘗(にいなめ)」)、米(行方郡(開墾))
※「筑波」の枕詞は、「握飯(にぎりいい)」 「握り飯(にぎりいい)筑波の国」!
果実:
橘(行方郡、香島郡 沼尾)、椎(行方郡)、栗(行方郡 当麻)、竹(行方郡)、ハハソ(ナラ・クヌギ類?(行方郡 当麻)、 桑の実?(桑 総記)
薬草:
麦門冬(やますげ 薬草?行方郡)、伏苓(まつほど 薬草 香島郡 軽野里~若松浜)、
伏神(ねまつほど 薬草 香島郡 軽野里~若松浜)、
酒:
(香島郡、行方郡ほか)、久慈の味酒(うまさけ 久慈郡)
【遺跡からの出土】
・25種類以上確認
イネ、アワ、ヒエ、キビ、オオムギ、コムギ、ソバ、ダイズの一種、マメ科、ササゲ、エゴマ、シソ科、サンショウ、ヤマブドウ、カキ、ウメ、モモ、カボチャ、クリなど
【その他】
・味噌、醤油、穀物酢は、常陸国風土記の編纂の頃(奈良時代初め)、一部の上流階級が高級食材として、宴会の時などに具されていただけとのこと。庶民の口に入ることはなかったようです。
※ただし、発酵が簡単な果実酢のようなものは、作られていたのではないかと考えます。
・野菜: 大根・蕪、
奈良時代初期には、食べられていたそうです。葉をメインに食べていたようです。
『日本書記』にも、蕪について言及されている文章があるそうです。
**************************************************************
以上のことを考えて、家で簡単に作れて美味しい、『なんちゃって古代食♪』メニューです。
『なんちゃって』ですが、常陸国風土記、日本書記等の資料や、遺跡の出土などを考慮してますので、それほどはずれてないのではないかな~♪ と思ってます。
味付け
塩、酢(柿酢)、かんきつ類果汁
※塩は、市販の『藻塩』が手に入ると、より気分が出ますし、美味しいです。
※柿酢は柿の実を自然に発酵させて作る酢で、比較的作りやすいと聞いたことがあります。
遺跡からも柿の種が発見されているとのことなので、古代の人も、秋に柿の実を取って柿の果実酢を作っていたのだろうと想像して、
柿 酢(市販品)を使いました。
※かんきつ類果汁は、常陸国風土記にも記載のある『橘』をヒントに。
メニュー
お弁当用
・玄米と粟のおむすび シソの葉(大葉)包み
味付けは塩(藻塩)のみ。シンプルですが、玄米が香ばしくて美味しいです。大葉の香りもgood♪
※汚れた手でも食べられるように、葉っぱで包んで。今回は食べられるシソの葉で包みました。柏餅の感覚♪
ホウの葉、柏の葉、サルトリイバラ等(もし当時もあったら)、使われていたのではないかなと思います。
逆に、包む葉は毒がないものを選ぶ必要があります。
写真は、黒米も加えたものです。 玄米は30~40分、水に浸してから焚いて下さい。
おうちごはん用 (レシピは近日中に随時公開)
・鮭の蒸し焼き(カブの葉包み焼き)、ふくれみかん風味 ← 12/3 作成しました♪
・貝と大根のスープ と 玄米&粟ごはん (スープご飯) ← 12/5 作成しました♪
・豚肉(猪の代わり)とレンコン 柿酢煮 ← 12/11 作成しました♪
次回は、「握り飯持ってどこ行こう? 常陸国風土記の楽しみ方 後篇 お出かけの場所編」です。
ワタクシ的、おすすめのお出かけプランをお教えします。お楽しみに!
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●参考文献
1. 『常陸国風土記 全訳注』 秋本吉徳 著 講談社学術文庫
2. 『常陸風土記の世界』 江原忠昭 著 筑波書林 ふるさと文庫
3. 『常陸国風土記の世界』 茂木雅博 著 同成社
4. 『理想郷とよばれた常陸国 -古代茨城の魅力と実力』 かすみがうら市郷土資料館
5. 『ひたちなか 埋文だより 31』 ひたちなか市埋蔵文化財調査センター
6. 『ひたちなか 埋文だより 35』 ひたちなか市埋蔵文化財調査センター
●参考ホームページ
・ キッコーマンHP 『しょうゆのすべて』
・第一三共株式会社 食彩辞典
・山梨県埋蔵文化センターHP 『遺跡トピックスNo.0178』
・(独)畜産産業振興機構HP 『かぶ』
・(独)畜産産業振興機構HP 『だいこん』
お腹がすく常陸国風土記 古代を味わおう!
※2013年11月16日(土)朝9:15-30 ラヂオつくば『つくばね自由研究クラブ』での放送内容を、再構築したものです。
常陸国風土記は、奈良時代の初め、「各地の風俗地理をまとめて提出せよ」という勅令が出てまとめられた文書の一つで、当時55ほどあった国(地域)の中で、現在残っているのはたった5つの国の風土記のみ。
その中の一つが常陸国風土記。近畿、東日本で、唯一残っている文書なのです!
常陸国風土記の特色は、美しく格調高い「べんれい体」という文章で書かれている等、難しい話もありますが、1300年前の生活も見えてくる楽しい資料でもあります。
今でいうピクニックや宴会のシーンが何箇所か出てきます。(歌ったり、踊ったり、お酒を飲んだり)
とうことで、ワタクシ的、常陸国風土記の楽しみ方!を2回に分けてお送りします。
題して 「握り飯持ってどこ行こう?」
その前篇「おなかがすく常陸国風土記。古代を味わおう!」です。
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1300年の昔から、この我が常陸国は海の幸・山の幸の食材が豊富だと、格調高く書かれています。
それでは具体的にどんなものがあるかというと・・・
【常陸国風土記の記載から】
水産物:
魚いろいろ(総記、行方郡、多珂郡)、鯉(香島郡 沼尾 寒田)、鮒(香島郡 沼尾 寒田)、
年魚(あゆ 久慈郡 山田)、鮭(久慈郡 助川)、
白貝(おう、行方郡 板来)、辛螺(にし、行方郡 板来)、蛤(うむぎ 行方郡 板来)、津白貝/いろいろな貝もの(つのう くさぐさのかひつもの 行方 板来の南の洲)、蜃(うむき はまぐり 那賀郡)、鰒魚(あわび 多珂郡)
塩(総記、行方郡(塩を焼く藻))、海苔(信太郡 乗浜)、海松(みる 行方郡)、海藻(め 多珂郡 藻島)
鳥獣:
鹿(信太郡 葦原、多珂郡)、猪(行方郡 当麻)、鴨(行方郡)、馬(行方郡…多分、食用でない)
農作物:
蓮根(はちす 香島郡 沼尾)、粟(筑波郡 筑波山「新粟(わせ)の新嘗(にいなめ)」)、米(行方郡(開墾))
※「筑波」の枕詞は、「握飯(にぎりいい)」 「握り飯(にぎりいい)筑波の国」!
果実:
橘(行方郡、香島郡 沼尾)、椎(行方郡)、栗(行方郡 当麻)、竹(行方郡)、ハハソ(ナラ・クヌギ類?(行方郡 当麻)、 桑の実?(桑 総記)
薬草:
麦門冬(やますげ 薬草?行方郡)、伏苓(まつほど 薬草 香島郡 軽野里~若松浜)、
伏神(ねまつほど 薬草 香島郡 軽野里~若松浜)、
酒:
(香島郡、行方郡ほか)、久慈の味酒(うまさけ 久慈郡)
【遺跡からの出土】
・25種類以上確認
イネ、アワ、ヒエ、キビ、オオムギ、コムギ、ソバ、ダイズの一種、マメ科、ササゲ、エゴマ、シソ科、サンショウ、ヤマブドウ、カキ、ウメ、モモ、カボチャ、クリなど
【その他】
・味噌、醤油、穀物酢は、常陸国風土記の編纂の頃(奈良時代初め)、一部の上流階級が高級食材として、宴会の時などに具されていただけとのこと。庶民の口に入ることはなかったようです。
※ただし、発酵が簡単な果実酢のようなものは、作られていたのではないかと考えます。
・野菜: 大根・蕪、
奈良時代初期には、食べられていたそうです。葉をメインに食べていたようです。
『日本書記』にも、蕪について言及されている文章があるそうです。
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以上のことを考えて、家で簡単に作れて美味しい、『なんちゃって古代食♪』メニューです。
『なんちゃって』ですが、常陸国風土記、日本書記等の資料や、遺跡の出土などを考慮してますので、それほどはずれてないのではないかな~♪ と思ってます。
味付け
塩、酢(柿酢)、かんきつ類果汁
※塩は、市販の『藻塩』が手に入ると、より気分が出ますし、美味しいです。
※柿酢は柿の実を自然に発酵させて作る酢で、比較的作りやすいと聞いたことがあります。
遺跡からも柿の種が発見されているとのことなので、古代の人も、秋に柿の実を取って柿の果実酢を作っていたのだろうと想像して、
柿 酢(市販品)を使いました。
※かんきつ類果汁は、常陸国風土記にも記載のある『橘』をヒントに。
メニュー
お弁当用
・玄米と粟のおむすび シソの葉(大葉)包み
味付けは塩(藻塩)のみ。シンプルですが、玄米が香ばしくて美味しいです。大葉の香りもgood♪
※汚れた手でも食べられるように、葉っぱで包んで。今回は食べられるシソの葉で包みました。柏餅の感覚♪
ホウの葉、柏の葉、サルトリイバラ等(もし当時もあったら)、使われていたのではないかなと思います。
逆に、包む葉は毒がないものを選ぶ必要があります。
写真は、黒米も加えたものです。 玄米は30~40分、水に浸してから焚いて下さい。
おうちごはん用 (レシピは近日中に随時公開)
・鮭の蒸し焼き(カブの葉包み焼き)、ふくれみかん風味 ← 12/3 作成しました♪
・貝と大根のスープ と 玄米&粟ごはん (スープご飯) ← 12/5 作成しました♪
・豚肉(猪の代わり)とレンコン 柿酢煮 ← 12/11 作成しました♪
次回は、「握り飯持ってどこ行こう? 常陸国風土記の楽しみ方 後篇 お出かけの場所編」です。
ワタクシ的、おすすめのお出かけプランをお教えします。お楽しみに!
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●参考文献
1. 『常陸国風土記 全訳注』 秋本吉徳 著 講談社学術文庫
2. 『常陸風土記の世界』 江原忠昭 著 筑波書林 ふるさと文庫
3. 『常陸国風土記の世界』 茂木雅博 著 同成社
4. 『理想郷とよばれた常陸国 -古代茨城の魅力と実力』 かすみがうら市郷土資料館
5. 『ひたちなか 埋文だより 31』 ひたちなか市埋蔵文化財調査センター
6. 『ひたちなか 埋文だより 35』 ひたちなか市埋蔵文化財調査センター
●参考ホームページ
・ キッコーマンHP 『しょうゆのすべて』
・第一三共株式会社 食彩辞典
・山梨県埋蔵文化センターHP 『遺跡トピックスNo.0178』
・(独)畜産産業振興機構HP 『かぶ』
・(独)畜産産業振興機構HP 『だいこん』
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