2018年12月06日
常陸大宮に伝わる 頑張った犬の伝説2つ(前編)
常陸大宮に伝わる 頑張った犬の伝説2つ(前編)
いよいよ12月に入りましたが、今年2018年戌年にちなんで、茨城の犬にまつわる伝説の紹介とちなむ場所を訪ねるシリーズ。
同シリーズ
→ 石岡駅の忠犬タロー像
→ 筑波山麓の『しっぺい太郎』伝説(前編)
→ 筑波山麓の『しっぺい太郎』伝説(後編) ~ 『しっぺい太郎』の姿を訪ねて
また、板橋不動尊(つくばみらい市)の安産子育てのご利益の由来で有名な、白犬伝説については、以前書いた記事、
→ 春の布施街道(千葉・柏(布施)~茨城・つくば(谷田部))を行く(2)
をご覧ください(^^)
前回(筑波山麓の『しっぺい太郎』伝説(後編) ~ 『しっぺい太郎』の姿を訪ねて
)紹介した筑波山麓に伝わる犬の伝説から、頑張ったワンコ達の姿が浮かんできます。
昔から人と一緒に働いて健気なワンコ(うちのワンコは家で寝てばかりですが(^m^;))。
さて、茨城県北、常陸大宮市の地区にも、けなげに頑張ったワンコにまつわる伝説が2つが伝わります。
昔話や伝説のゆかりの地を実際に訪ねての報告がモットーなのですが、2018年戌年も年の瀬になりつつあり、ゆかりの地への訪問も近いうちに行くのは難しい
なので、まずはお話だけでも紹介します
。
(1)常陸大宮市(山方地区). 犬吠峠-常陸大宮市西野内
千葉県の『犬吠埼(いぬぼうさき)』は有名ですが、茨城には
『犬吠峠』
があります。
『犬吠峠』の読み方は『いぬぼえとうげ』(文献1 他)。
この犬吠峠にまつわる伝説です。

写真は、常陸大宮市 旧山方町の『森林浴の道(籠岩)』途中の展望台からの眺め(2002年10月撮影)。
方角的に犬吠峠方向ではないかと。
15年ほど前の写真ですが、多分、この絶景は変わっていません(^^)
【おおまかなあらすじ】
火事を嘆いた、もしくは火事を知らせるために、犬が七日七晩吠え続けて、とうとう石になった。
その石は今もあって、その一帯は『犬吠峠(いぬぼえとうげ)』と呼ばれる。
バージョンがいくつかあるようで、
① お寺『常安寺』が火事で焼け落ちたのを悲しみ、七日七晩吠え続けて火難を四方に知らせた。
犬は食事もとらず座った形のまま犬になった。
(文献1、2、3、4、5、6)
※文献1及び6 によると、実際、常安寺は文久元年(1861年)に全焼しています。
文献6では、『文久元年(一八六一)十一月、時の住職天外禅師の時にかかわる伝説です』とのこと。
② 近くの城(『御城』)の落城を知らせるために吠え続けた犬が、石になった。
(文献4)
※『御城』は『山方城』の別名とのことで、応永十五年(1408年)、美濃山方出身の山方能登守盛利が築城し、その後、佐竹義治の五男の政義の居城となり、この地における佐竹氏の重要な城となったとのこと(文献7)
また、次のは上の2つと全く違うあらすじの話で、
③ 前九年の役の時に、源頼義とその子の義家がこの地を通り、金砂山で敵分と戦った時に、この峠に山犬(狼)の群れが現れて、義家ら源氏方の軍勢に向かって吠え続けた。義家らはこの山犬の大群のために容易に進軍出来なかったことから、『犬吠峠』となった。
(文献4)
ちなみに、①は江戸時代末期、②は室町時代、そして、③は平安時代後期。
時代的にはずいぶん幅がありますね。
上の①、②にある、『石になった犬』のその石は、実際、犬吠峠にあるそうです。
文献1には、『犬吠峠にある犬の化身といわれる巨石』のキャプションとともに、その写真が掲載されています。
またネットを調べると、実際に行かれた方の話がいくつか読むことが出来ます。
が、この伝説の石のある場所は、道なき道を行くようで、実際に見に行くのは大変そうです
。
でも伝説の石が今も残っているのは喜ばしい
。
文献4、5、6によると、この地域では犬の遠吠えが聞こえてくると、『峠のお犬様が鳴いているから、火事に気をつけろ』と言い合ったそう。
火事を用心する生活の知恵にも結びついているのでしょう
。
ちなみに、伝説のバージョン②に出てくる『御城』。
現在は『御城展望台』として、資料館も兼ねて建物が復元、整備されています。
今度是非行ってみたいです(ここは簡単に行けそうですし♪)
。
詳細→ 常陸大宮市ホームページ 御城展望台
http://www.city.hitachiomiya.lg.jp/page/page002908.html
この辺りは中世、激しい戦乱のあった場所とのこと。
そのことを、この伝説と現存する『犬の石』、そして『犬吠峠』という地名が伝えているのかなぁと思います。
県北はやっぱり佐竹氏関係の伝説が、今も息づいていますね
。
後編に続きます♪
→ 常陸大宮に伝わる 頑張った犬の伝説2つ(後編)
【おまけ】
犬吠峠がある常陸大宮市西野内地区は、『西ノ内和紙』でも有名な地区です。
西ノ内和紙については、かなり以前の記事ですが、当ブログでも書いてますので、良かったら(^^)
→ 茨城 こんなもの見つけた (2) 「西ノ内和紙」製の陣取りゲーム
************************************************************************
【参考文献】
1.『山方町誌 上巻』 茨城県那珂郡山方町文化財保存研究会編
2.『日本の伝説37 茨城の伝説』 今瀬文也・武田静澄 共著 角川書店
3.『茨城の伝説』 茨城民俗学会編 日本標準
4.『茨城県の民話と伝説 上 ふるさとの自然と動物』 藤田稔 著 有峰書店
5.『山方町いまむかし』 仲田安夫 著 筑波書林
6.『語りつぎたい 奥久慈の秘話(親から子へ 子から孫へ)』 堀江文男 著 茨城出版企画センター
7.『図説 茨城の城郭』 茨城城郭研究会編 国書刊行会
いよいよ12月に入りましたが、今年2018年戌年にちなんで、茨城の犬にまつわる伝説の紹介とちなむ場所を訪ねるシリーズ。
同シリーズ
→ 石岡駅の忠犬タロー像
→ 筑波山麓の『しっぺい太郎』伝説(前編)
→ 筑波山麓の『しっぺい太郎』伝説(後編) ~ 『しっぺい太郎』の姿を訪ねて
また、板橋不動尊(つくばみらい市)の安産子育てのご利益の由来で有名な、白犬伝説については、以前書いた記事、
→ 春の布施街道(千葉・柏(布施)~茨城・つくば(谷田部))を行く(2)
をご覧ください(^^)
前回(筑波山麓の『しっぺい太郎』伝説(後編) ~ 『しっぺい太郎』の姿を訪ねて
)紹介した筑波山麓に伝わる犬の伝説から、頑張ったワンコ達の姿が浮かんできます。
昔から人と一緒に働いて健気なワンコ(うちのワンコは家で寝てばかりですが(^m^;))。
さて、茨城県北、常陸大宮市の地区にも、けなげに頑張ったワンコにまつわる伝説が2つが伝わります。
昔話や伝説のゆかりの地を実際に訪ねての報告がモットーなのですが、2018年戌年も年の瀬になりつつあり、ゆかりの地への訪問も近いうちに行くのは難しい

なので、まずはお話だけでも紹介します

(1)常陸大宮市(山方地区). 犬吠峠-常陸大宮市西野内
千葉県の『犬吠埼(いぬぼうさき)』は有名ですが、茨城には
『犬吠峠』
があります。
『犬吠峠』の読み方は『いぬぼえとうげ』(文献1 他)。
この犬吠峠にまつわる伝説です。

写真は、常陸大宮市 旧山方町の『森林浴の道(籠岩)』途中の展望台からの眺め(2002年10月撮影)。
方角的に犬吠峠方向ではないかと。
15年ほど前の写真ですが、多分、この絶景は変わっていません(^^)
【おおまかなあらすじ】
火事を嘆いた、もしくは火事を知らせるために、犬が七日七晩吠え続けて、とうとう石になった。
その石は今もあって、その一帯は『犬吠峠(いぬぼえとうげ)』と呼ばれる。
バージョンがいくつかあるようで、
① お寺『常安寺』が火事で焼け落ちたのを悲しみ、七日七晩吠え続けて火難を四方に知らせた。
犬は食事もとらず座った形のまま犬になった。
(文献1、2、3、4、5、6)
※文献1及び6 によると、実際、常安寺は文久元年(1861年)に全焼しています。
文献6では、『文久元年(一八六一)十一月、時の住職天外禅師の時にかかわる伝説です』とのこと。
② 近くの城(『御城』)の落城を知らせるために吠え続けた犬が、石になった。
(文献4)
※『御城』は『山方城』の別名とのことで、応永十五年(1408年)、美濃山方出身の山方能登守盛利が築城し、その後、佐竹義治の五男の政義の居城となり、この地における佐竹氏の重要な城となったとのこと(文献7)
また、次のは上の2つと全く違うあらすじの話で、
③ 前九年の役の時に、源頼義とその子の義家がこの地を通り、金砂山で敵分と戦った時に、この峠に山犬(狼)の群れが現れて、義家ら源氏方の軍勢に向かって吠え続けた。義家らはこの山犬の大群のために容易に進軍出来なかったことから、『犬吠峠』となった。
(文献4)
ちなみに、①は江戸時代末期、②は室町時代、そして、③は平安時代後期。
時代的にはずいぶん幅がありますね。
上の①、②にある、『石になった犬』のその石は、実際、犬吠峠にあるそうです。
文献1には、『犬吠峠にある犬の化身といわれる巨石』のキャプションとともに、その写真が掲載されています。
またネットを調べると、実際に行かれた方の話がいくつか読むことが出来ます。
が、この伝説の石のある場所は、道なき道を行くようで、実際に見に行くのは大変そうです

でも伝説の石が今も残っているのは喜ばしい


文献4、5、6によると、この地域では犬の遠吠えが聞こえてくると、『峠のお犬様が鳴いているから、火事に気をつけろ』と言い合ったそう。
火事を用心する生活の知恵にも結びついているのでしょう

ちなみに、伝説のバージョン②に出てくる『御城』。
現在は『御城展望台』として、資料館も兼ねて建物が復元、整備されています。
今度是非行ってみたいです(ここは簡単に行けそうですし♪)


http://www.city.hitachiomiya.lg.jp/page/page002908.html
この辺りは中世、激しい戦乱のあった場所とのこと。
そのことを、この伝説と現存する『犬の石』、そして『犬吠峠』という地名が伝えているのかなぁと思います。
県北はやっぱり佐竹氏関係の伝説が、今も息づいていますね

後編に続きます♪
→ 常陸大宮に伝わる 頑張った犬の伝説2つ(後編)
【おまけ】
犬吠峠がある常陸大宮市西野内地区は、『西ノ内和紙』でも有名な地区です。
西ノ内和紙については、かなり以前の記事ですが、当ブログでも書いてますので、良かったら(^^)
→ 茨城 こんなもの見つけた (2) 「西ノ内和紙」製の陣取りゲーム
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【参考文献】
1.『山方町誌 上巻』 茨城県那珂郡山方町文化財保存研究会編
2.『日本の伝説37 茨城の伝説』 今瀬文也・武田静澄 共著 角川書店
3.『茨城の伝説』 茨城民俗学会編 日本標準
4.『茨城県の民話と伝説 上 ふるさとの自然と動物』 藤田稔 著 有峰書店
5.『山方町いまむかし』 仲田安夫 著 筑波書林
6.『語りつぎたい 奥久慈の秘話(親から子へ 子から孫へ)』 堀江文男 著 茨城出版企画センター
7.『図説 茨城の城郭』 茨城城郭研究会編 国書刊行会
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