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落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (三)


茨城県南西部から千葉県北部が舞台の落語 『紋三郎稲荷』 (文献1)。
紋三郎稲荷とは、笠間稲荷の別名です。

主人公は、笠間藩牧野家の家臣 山崎平馬。
その話の舞台を訪ねる旅です。

豆電球以前書いた記事
→ 落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (一) 

→ 落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (二) 


さて、落語『紋三郎稲荷』では、江戸道中前半の笠間から取手までの話はありません。
ですので、シリーズ最終回の今回は、笠間から取手までの道のり について、平馬の旅をキラキラ妄想キラキラしてみました。


(5)想定:笠間から取手までのルート

まず、笠間藩の参勤交代ルートは、2つありました(参考サイト1、2)。

① 笠間藩 江戸東道中
   笠間~府中(現在の石岡市)~<水戸街道> → 江戸へ   

② 笠間藩 江戸西道中
笠間~<小山・日光街道経由>~岩瀬(現在の桜川市岩瀬)~真壁(現在の桜川市真壁)~結城~杉戸(現在の埼玉県杉戸市)→ 江戸へ

基本は2泊3日の行程だったそうですが、②の西道中の方が11km長いので、3泊になることもあったそうです。
また参勤交代のルートは幕府に届け出て許可されたルートなので、これ以外のルートは使えなかったといいます。

さて、落語『紋三郎稲荷』の平馬ですが、これは江戸勤番のために行くとはいえ、個人の旅なので、参勤交代のルートは使わず、脇街道を使ったと考えます。
というのも、参勤交代ルート、例えば①の東道中にしても、かなり遠回りですから、個人の移動ならなるべく短い距離を歩くのではないかと思うからです。

落語では平馬は『水戸街道を西へと向かい』ということなので、水戸街道で取手から川を渡り松戸に向かっています。が、これはルート松戸までのルート後半。

では、(話は出てこない)ルートの前半については、どう行くのが一番もっともらしいかと考えると、距離がなるべく短い、

 笠間 → 柿岡(石岡市柿岡地区)→ <水戸街道> → 土浦 → 取手

まで行くルートが一番自然ではないでしょうか。

で、どのあたりから水戸街道に乗ったかというのは、中貫宿(現在の土浦市中貫)あたりかなと想定します。

落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (三)
現在の中貫宿付近。
(2024年2月下旬撮影)
府中(石岡)に出てから水戸街道を歩くより合計の距離が短くなるので、やはり中貫宿あたりで水戸街道に乗るのが自然かと。

ところで、江戸時代、徒歩旅で、成人男性は1日に30~40km歩いたといいます。
笠間~中貫宿まではちょうど35kmくらい。



中貫宿の本陣跡落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (三)
なお、距離的にも笠間~取手間で一泊するかと思いますが、落語ではその話は出てきません。

距離的には、平馬は、初日は中貫宿(※)で一泊したと考えたい・・・のですが、どうも中貫宿は旅籠があまりなかったようなのです(文献2)。
そうするとあと4kmほど歩いて、土浦宿で宿泊したと想定した方が良さそうです。

当時の土浦は水運・陸運の要所として大変栄えていたので、宿も多かったであろう土浦宿に一泊したと考えましょう。

それにしても、平馬さん、病み上がりなのに健脚ですよね!?

土浦宿には本陣が2つあったといいます(文献2)。


落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (三)
そのうちの1つ、大塚家のあった場所が現在、土浦商工会議所のあたりとのこと。
(2024年2月下旬撮影)

土浦宿の本陣跡の解説も書かれたポールがあるはずなのですが、最初はなかなか見つからず・・・?





落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (三)
(2024年2月下旬撮影)
すると、訪れた日、そのポール碑に「土浦の雛まつり」の立て看板が立てられていて、「本陣跡」の文字も説明文も見えない状態・・・泣

いくらイベント中とはいえ、立て看板の置く場所、もう少し考えた方が良いかと思いましたがーん…


ここにほど近い場所に、昔の建築が並んで風情のある、土浦中城通りがあります。
この日は都合が合わずに行けなかったので、また後日行ったら、追加でこちらのページにもアップしたいと思っています。


さてさて、『落語 紋三郎稲荷』 に描かれていない、平馬が歩いたであろう前半のルートは、
私かるだもん の妄想で、

 笠間 → 柿岡(石岡市柿岡地区)→ 中貫宿 →<水戸街道>→ 土浦宿(宿泊) → 取手

としますちょき


(6)想定:土浦宿での料理は?
 
平馬が初日の宿を土浦宿だとすると、宿での食事はなんだったのかなと、またまたキラキラ空想キラキラしてみました。

まず霞ヶ浦沿岸なので、魚は出たでしょうちょき

参考サイト3によると、当時の旅籠の食事は、香の物を加えた『一汁三菜』で、
汁、飯、焼き魚か煮魚、野菜の煮物、香の物』 が一般的だったそうです。

そこで、想像するに、やはり霞ケ浦の幸の魚は出たでしょうキラキラ
江戸時代から霞ヶ浦は鯉も名産(文献3:参考文献は北浦の資料ですが霞ヶ浦もほぼ同じかと想定)。

落語では、平馬は冬の時期に旅しています。
冬の時期で美味しいのは、やはり鯉(これは話の中では翌日の松戸宿で食べます)か、鮒(寒鮒)か(文献3,4)。

とすると、鯉か鮒は土浦の宿で出たのではないでしょうかグッド

今回、松戸では川魚も地酒も頂けなかったので、主人公の平馬の初日の宿泊場所の土浦宿の夕食を、以下のように想定して用意しました。

落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (三)
一汁三菜』の三菜は、

・魚 : 贅沢に、鯉の旨煮(霞ヶ浦産)。
・野菜の煮物 : ごぼう、にんじん(※1)、干し椎茸とこんにゃく(※2)の煮もの 
・香の物 : 干しだいこんの酢漬け、大根の葉添え
 (野菜は全て茨城県内産)


そして、お酒は
地酒 (残念ながら土浦には日本酒の地酒がないので、落語の中で通過する 取手 の地酒)
を用意。

旅の楽しみは、今も昔も、宿での名物の食事ハート

お酒は、冬の旅ですし、平馬は風邪からの病み上がりなので、温まるために熱燗とっくり&おちょこで飲んだことでしょうが、私は冷や酒が好きなので、時代考証無視で(笑)冷や酒で頂きました。

当時の土浦宿の宿の食事を思いながら一杯やりましたキラキラ
美味しかったです(^^)ハート

※1:江戸時代のにんじんですので、今回は市販で手に入りやすい西洋にんじんではなく、東洋系にんじんの金時にんじんを使いました。

※2:江戸時代、こんにゃくは水戸藩の専売でした(参考サイト4)。
土浦は、江戸時代は土屋氏が藩主だった土浦藩ですが、水戸藩の領地にほど近い場所です。
もしかするとこんにゃくも食べられていたのではないかなと想像して、生こんにゃくいもから作られた手作りこんにゃく(茨城産)を使いました♪


*****************************

【参考文献】

1.『古典落語大系 第5巻』 江口滋 他編 三一書房

2.『新編旧水戸街道繁盛記』 山本鉱太郎 著 崙書房出版

3.『水戸藩 玉里御留川 ―近世 霞ヶ浦の漁業と漁民―』
小美玉市玉里古文書調査研究会 編集・発行

4.『聞き書 茨城の食事』 「日本の食生活全集 茨城」編集委員会 編集
農山漁村文化協会 発行


【参考サイト】

1.笠間市HP  文化・歴史
広報かさま 2022年8月号 かさまのれきし 第67回
https://www.city.kasama.lg.jp/data/doc/1659490140_doc_203_0.pdf

2.笠間の歴史探訪 vol.61-70
https://www.city.kasama.lg.jp/page/page012632.html

3.歌舞伎座 『江戸食文化紀行-江戸の美味探訪』 No.86 旅籠の食事
https://www.kabuki-za.co.jp/syoku/2/no86.html

4.大子町公式ホームページ 『こんにゃく』
https://www.town.daigo.ibaraki.jp/page/page000035.html#:~:text=%E5%8F%A4%E3%81%8F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AB%E3%82%83%E3%81%8F%E6%A0%BD%E5%9F%B9%E3%81%8C,%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%8F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82







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