2017年03月17日
茨城こんなもの見つけた♪(29) 筑波山地域『石の御守』
茨城こんなもの見つけた♪(29) 筑波山地域『石の御守』
石が名産の筑波山地域。
また一般に石や岩は古くから信仰の対象になっています。
筑波山中のたくさんの奇岩も古くから信仰の対象になっているのはご存知のとおり。
昨年2016年9月に、ジオパークに認定された筑波山地域(含む霞ヶ浦)。
地学的なこととその産業に注目が集まりがちですが、昔から続く庶民の願いと信仰の形にも注目したい
。
ということで、今回は筑波山地域における、『御守』としての石についてです。
名付けて、『ジオ』的御守
新旧いろいろあって、興味深いです
。
ちなみに、以前書いた記事をご参考まで。
第1回 → 信仰とジオの意外な関係(1) ~つくばみらい 石饅頭~
第2回 → 信仰とジオの意外な関係(2) ~土浦 カシャ(雷神)の爪・龍の爪~
第3回前篇 → 信仰とジオの意外な関係(3)~崖の岩に彫られた仏像(磨崖仏)に秘められた歴史と地球ロマン―前篇~
第3回後篇 → 信仰とジオの意外な関係(3)~崖の岩に彫られた仏像(磨崖仏)に秘められた歴史と地球ロマン―後篇~
●桜川市 『すべらない砂』御守

写真のものは、先日、櫻川磯部稲村神社で購入。
リボンは桃色か紫色か選べましたので、桃色を選びました
。
説明書きも入っているのも良いですね
その説明書きによると、
『その昔、愛知県豊橋駅から長野県辰野駅を結ぶ飯田線は、途中の急勾配を登る際、車輪がすべらないよう線路に砂を撒いていたそうです。
しかし、その砂はどんなものでも良いというわけではなく、出来るだけ硬いものが求められました。
数々の砂を試した結果、「桜川の砂」にたどりつき、以後「この砂でなければ・・・」と言われるほど絶大な効果を発揮したそうです。』
とのこと。
また最後に大きめの文字で
『硬い石(意思)ですべらない…』
良いこと言いますね!最後は自分の『意思』の力ですものね

また更に素晴らしいことに、絵馬の描かれた部分に願い事を書いて郵送すると、櫻川磯部稲村神社で祈祷して頂ける葉書つき!
(写真は住所・郵便番号の一部をぼかしています)
これで500円ぽっきり!
なんて良心的なお値段なんでしょう
『すべらない』というのは、受験だけでなく、
『発表/発言ですべらない』
『ジョークがすべらない』
など、幅広い方面のお守りになりそうです(^^)v。
なお、この『すべらない砂』御守りの詳細
『サクラサク里』プロジェクトさん 公式サイトより、『サクラサク里桜川のすべらない砂』
http://blog.livedoor.jp/sakurasakusato/archives/51881844.html
●石岡市 『難関突破』御守

朝日トンネル開通時に採取された花崗岩を小さくかけらにして御守りにしたものとのこと。
中に小指の頭ほどの小さな石のかけらが入っています。
写真のものは、2012年11月に朝日峠トンネル開通記念のウォーキング大会に参加した時に、購入したものです。
ご参考(以前書いた記事)→ 筑波山系のトンネル、開通前の朝日トンネルを歩いた!
『難関突破』も範囲が広くて、受験や就職はもちろん、
仕事の交渉、スポーツの勝敗、
更には『無事出てくる』で安産まで、
いろんな御守にもなりそうです
。
しかし石岡市の観光協会に問い合わせたところ、現在(2016年12月現在)は販売していないとのこと。
残念・・・。
●筑波山神社 『子種石』
筑波男神、筑波女神という夫婦神がおわす筑波山は、山全体がご神体。
その神体山である筑波山中で採取した石を『子種石』として渡され、子供が出来たら石をお返しするという風習・信仰が昔からあったそうで、参考文献1にも記述がある、古くからの祈願の方法のようです。
以前、神社の方に伺ったところ、現在も『子種石』の信仰はあるとのこと。
筑波山神社の社務所で子種石を借りたい旨を言うと貸与されて、子供が授かったら、その石を神社までお返しするのだそうです。
なお筑波山の『とある秘密の場所』で子種石となる石を神官の方が『頂いて』きて、祈祷されたものを渡されるそうです・・・ちょっと神秘的♪!?
(多分、筑波山中とのことなので、風化して礫になった、斑レイ岩もしくは花崗岩の小石と推測します・・・山頂付近だったら斑レイ岩の小石でしょうか)
●筑波山神社 『願い石』
石を筑波山神社で購入して、その石に直接お願いをペンで書いて、筑波山男体山の自然研究路沿いにある『大石重ね』に行き、そこに奉納してくるものです。

『願い石』はどこで採取された石かは不明ですが、丸くて滑らかな石なので、平野部を流れる川(どの川の、どの場所の石かは不明)の河原の石だと思われます。
(写真は2012年8月撮影)

小石からやや大きめの石まで、無数の石が積み重なった『大石重ね』と呼ばれる塚。
そばにある説明板によると、
『筑波山にお参りする際、小石を持って登山し、願いが神様に届くよう、神様の傍に置いたのが、塚となったところです』
とのこと。

また別のさらに立派な説明板(自然研究路用の説明板。通し番号が入っている)には、
『⑪大石かさねの伝説と迷信
昔から小石をもって登山すれば、つかれずにのぼれるし、罪やあやまちも消えるといわれています。男体山、女体山の石を拾って神棚にあげておいのりすれば、子宝をさずかると信じられています。石はふしぎな力をもっていると考えられてきました、その信者達のもちあつめた石の山です。』
との説明。
(
注意
:筑波山頂一帯は、自然公園法に基づく『特別保護地区』に指定されているので、石はもちろん、落ちている葉も拾って持ち帰ってはいけないはず。看板で堂々と『男体山、女体山の石を拾って神棚にあげておいのりすれば・・・』はどうかと
(-“-;) )
→ なので、
子宝を祈願される方は、上記の『子種石』を神社から頂くという方法があります(^^)。勝手に石を拾っていくより御利益ありそうですよね。決して山から石を持ち出さないで下さいね。
さて上記の看板の説明とは別に、
古くから参拝の無事を祈って小石を持って登山し、無事ここまで来られたという感謝を含めて、人々がここに石を置き、長年それが溜まって無数の石が積まれて『大石重ね』と呼ばれる塚になった・・・
とも聞いたことがあります。

以上のことを考えるに、現在行われているような、
『筑波山神社で石を購入して、その『石に願い事を書いて』 ”大石重ね”に置く・・・というのは、ごく近年始まったものでしょう。
遠い昔からの庶民の小さな信仰の形を、近年、『願い石』として
『お願いを小石に書いて奉納』
という形で、リバイバルしたのではないかと思います。
でも、『石に願いを込める』・『ここに参拝に来たという証』という意味では、昔も今も同じですね
。
ということで、筑波山地域の一部エリア(桜川市、石岡市、つくば市)の、
新旧の
『ジオ』的御守 = 石の御守
と信仰についてでした。
他にもまだあるかもしれませんので、見聞きしたら報告します
*************************************************************
【参考文献】
1. 筑波歴史散歩 宮本宣一著 日経事業出版センター
石が名産の筑波山地域。
また一般に石や岩は古くから信仰の対象になっています。
筑波山中のたくさんの奇岩も古くから信仰の対象になっているのはご存知のとおり。
昨年2016年9月に、ジオパークに認定された筑波山地域(含む霞ヶ浦)。
地学的なこととその産業に注目が集まりがちですが、昔から続く庶民の願いと信仰の形にも注目したい

ということで、今回は筑波山地域における、『御守』としての石についてです。
名付けて、『ジオ』的御守

新旧いろいろあって、興味深いです

ちなみに、以前書いた記事をご参考まで。




●桜川市 『すべらない砂』御守

写真のものは、先日、櫻川磯部稲村神社で購入。
リボンは桃色か紫色か選べましたので、桃色を選びました

説明書きも入っているのも良いですね

その説明書きによると、
『その昔、愛知県豊橋駅から長野県辰野駅を結ぶ飯田線は、途中の急勾配を登る際、車輪がすべらないよう線路に砂を撒いていたそうです。
しかし、その砂はどんなものでも良いというわけではなく、出来るだけ硬いものが求められました。
数々の砂を試した結果、「桜川の砂」にたどりつき、以後「この砂でなければ・・・」と言われるほど絶大な効果を発揮したそうです。』
とのこと。
また最後に大きめの文字で
『硬い石(意思)ですべらない…』
良いこと言いますね!最後は自分の『意思』の力ですものね


また更に素晴らしいことに、絵馬の描かれた部分に願い事を書いて郵送すると、櫻川磯部稲村神社で祈祷して頂ける葉書つき!

(写真は住所・郵便番号の一部をぼかしています)
これで500円ぽっきり!
なんて良心的なお値段なんでしょう

『すべらない』というのは、受験だけでなく、
『発表/発言ですべらない』
『ジョークがすべらない』
など、幅広い方面のお守りになりそうです(^^)v。
なお、この『すべらない砂』御守りの詳細

http://blog.livedoor.jp/sakurasakusato/archives/51881844.html
●石岡市 『難関突破』御守

朝日トンネル開通時に採取された花崗岩を小さくかけらにして御守りにしたものとのこと。
中に小指の頭ほどの小さな石のかけらが入っています。
写真のものは、2012年11月に朝日峠トンネル開通記念のウォーキング大会に参加した時に、購入したものです。

『難関突破』も範囲が広くて、受験や就職はもちろん、
仕事の交渉、スポーツの勝敗、
更には『無事出てくる』で安産まで、
いろんな御守にもなりそうです

しかし石岡市の観光協会に問い合わせたところ、現在(2016年12月現在)は販売していないとのこと。
残念・・・。
●筑波山神社 『子種石』
筑波男神、筑波女神という夫婦神がおわす筑波山は、山全体がご神体。
その神体山である筑波山中で採取した石を『子種石』として渡され、子供が出来たら石をお返しするという風習・信仰が昔からあったそうで、参考文献1にも記述がある、古くからの祈願の方法のようです。
以前、神社の方に伺ったところ、現在も『子種石』の信仰はあるとのこと。
筑波山神社の社務所で子種石を借りたい旨を言うと貸与されて、子供が授かったら、その石を神社までお返しするのだそうです。
なお筑波山の『とある秘密の場所』で子種石となる石を神官の方が『頂いて』きて、祈祷されたものを渡されるそうです・・・ちょっと神秘的♪!?

(多分、筑波山中とのことなので、風化して礫になった、斑レイ岩もしくは花崗岩の小石と推測します・・・山頂付近だったら斑レイ岩の小石でしょうか)
●筑波山神社 『願い石』
石を筑波山神社で購入して、その石に直接お願いをペンで書いて、筑波山男体山の自然研究路沿いにある『大石重ね』に行き、そこに奉納してくるものです。
『願い石』はどこで採取された石かは不明ですが、丸くて滑らかな石なので、平野部を流れる川(どの川の、どの場所の石かは不明)の河原の石だと思われます。
(写真は2012年8月撮影)

小石からやや大きめの石まで、無数の石が積み重なった『大石重ね』と呼ばれる塚。
そばにある説明板によると、
『筑波山にお参りする際、小石を持って登山し、願いが神様に届くよう、神様の傍に置いたのが、塚となったところです』
とのこと。

また別のさらに立派な説明板(自然研究路用の説明板。通し番号が入っている)には、
『⑪大石かさねの伝説と迷信
昔から小石をもって登山すれば、つかれずにのぼれるし、罪やあやまちも消えるといわれています。男体山、女体山の石を拾って神棚にあげておいのりすれば、子宝をさずかると信じられています。石はふしぎな力をもっていると考えられてきました、その信者達のもちあつめた石の山です。』
との説明。
(



→ なので、

さて上記の看板の説明とは別に、
古くから参拝の無事を祈って小石を持って登山し、無事ここまで来られたという感謝を含めて、人々がここに石を置き、長年それが溜まって無数の石が積まれて『大石重ね』と呼ばれる塚になった・・・
とも聞いたことがあります。
以上のことを考えるに、現在行われているような、
『筑波山神社で石を購入して、その『石に願い事を書いて』 ”大石重ね”に置く・・・というのは、ごく近年始まったものでしょう。
遠い昔からの庶民の小さな信仰の形を、近年、『願い石』として
『お願いを小石に書いて奉納』
という形で、リバイバルしたのではないかと思います。
でも、『石に願いを込める』・『ここに参拝に来たという証』という意味では、昔も今も同じですね

ということで、筑波山地域の一部エリア(桜川市、石岡市、つくば市)の、
新旧の
『ジオ』的御守 = 石の御守
と信仰についてでした。
他にもまだあるかもしれませんので、見聞きしたら報告します

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【参考文献】
1. 筑波歴史散歩 宮本宣一著 日経事業出版センター
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