2017年02月19日
『筑波山』石祠の、弓矢と的の飾り
『筑波山』石祠の、弓矢と的の飾り
昨日、つくば市の西大沼付近(※)を走っていたら、道の傍らの石祠に、こんな飾りが。
こちらの祠については、かなり以前になりますが、ブログで触れたことがあります。
つくばプチ民俗学・・・路傍のいろいろ(3) お供え観察
ちなみに、こちらの石祠は、『谷田部町の石仏』(谷田部町教育委員会)には記載がありません。
(記載漏れの石造物、まだまだ多いように思います)
*******************************************************
※(2/27追記)
Kame,Y( @kame_matsuri )さんより、
『住所ですが近くの電柱の表記は上原になっていました。集落は西大沼の方が近いですが上原地区の祭かもしれません』
というご教示を頂きました。 ありがとうございました!
この記事冒頭で『西大沼付近』と書いておりますが、地図をよく見ると、現地は西大沼地区と上原地区のちょうど境目付近で、
祠のある場所は、ご指摘のように上原地区になっています。
*******************************************************
祠の脇に立てられた的らしいものと、落ちている弓と矢らいしいものから判断して、
『おびしゃ』を行ったのではないかなぁと推察。
的になったらしい紙の様子などから、ここ数日のうち(多分1日・2日以内?)に祭事を行った様子。
『おびしゃ』とは弓神事の一種で、文献(『茨城の神事』 茨城県神社庁)によると、
『神前の的に向かって矢を放ち、その当たり具合で神意を図る神事』
とのこと。
馬に乗って的に矢を射る『流鏑馬(やぶさめ)』に対し、徒歩で的に矢を射るのが『おびしゃ』と呼ばれるようで、『御歩射(おぶしゃ)』とも『奉射』とも言われるようです。
また、上記文献によると、
『流鏑馬は県内各地にみられるが、おびしゃは利根川や鬼怒川などの流域に集中し、県南・県西に分布する』
とのこと。
『的には三本足の鳥と野兎を描くところや、鬼の字を書くところなどがある。鳥は太陽、兎は月の象徴で、日月が正順ならば豊年ということであった』
という記載もあります。
篠竹の上には、的らしい、輪に張られた紙が。
当初は立っていたものが、風で倒れて下にぶら下がっている状態なのではないかと推察。
矢で射ぬかれたようで、大きな穴が開いています。
祠の脇には、同じく篠竹で作られたらしい弓が落ちていました。
(本当は石祠に立てかけられていたのが、前日の強風(春一番でしたね♪)で飛ばされたのかもしれません)
矢らしいものも落ちています。
紙で作られたらしい羽もついています。
こちらの祠で行われたのが『おびしゃ』だと仮定しますと、
上の文献によると、的には
三本足の鳥や兎
『鬼』の字
などが描かれている
とのこと。
こちらの的にも、的を示す円とともに、文字らしいものが描かれています。
倒れて逆さまになっているので、的だけをアップにして写真上下をひっくり返してみました。
反対側からみたものも、アップにして上下ひっくり返してみました。
う~ん、何と言う文字かわかりません。
『鬼』でないのは確か
ご存じの方、ご教示下さいm(_ _)m
※文字?と図?が、よーく見ると、表と裏とでちょっと違うようなのですが・・・?
特に弓で射られた穴が重なっている下の文字(?)
すごく不思議。
*******************************************************
(2/26追記)
現地に行かれてご覧になった Kame,Y( @kame_matsuri )さんより、
『「奉納」と書いてある気がする』
という情報を頂きました。
(3/7追記)
また上記2つの上方に加え、更にKame,Y( @kame_matsuri )さんより、
『昭和43年発行の「昭和42年度 筑波研究学園都市地区 民俗資料緊急調査報告書」に 上原では初午の日にツギの木で作った数組の弓と矢で「奉納」と書いた的を射る。と書かれた文献を発見しました。時期も初午に近く、これではないかと思います。』
『同書の調査は50年前の ものですから、もしかしたら今は形だけになっているのかもしれません。来年の初午には見に行きたいと思います。』
という情報を頂きました!
同書は私もコピーを持っていたのですが、すっかり忘れており、確認してみると、 Kame,Y( @kame_matsuri )さんのご教示のように、上原での初午の行事が詳しく書かれていました。
私も忘れないようにして、来年の初午の頃に現地で確認したいです。
Kame,Y( @kame_matsuri )さん、たくさんのご教示、本当にありがとうございました!
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茨城県神社庁の『茨城の神事』 には、県内の『おびしゃ』神事を行う神社の分布が地図に書かれています。
それによると13箇所で行われているそう。
今回見た石祠の『おびしゃ』は、茨城県神社庁管轄ではないためでしょうか、記載はありません。
同じように、無名の地元密着の祠で、同様の弓神事は、地元の人に受け継がれて、ひっそりと行われている場所は、他にもあるのだろうなぁと思います。
市制30周年が経ったつくば市。
こういう記録もそろそろ作っていくべきではないでしょうか。
消えてしまう前に、きちんと記録をしてほしいと切に願います。
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【参考文献】
・ 『茨城の神事』 茨城県神社庁
・『昭和42年度 筑波研究学園都市地区 民俗資料緊急調査報告書』 茨城県教育委員会
※『オビシャ』については、千葉県や埼玉県などの幾つかの自治体のHPでも解説している所がありますので、検索エンジンで『おびしゃ』『オビシャ』で調べて見てください。
昨日、つくば市の西大沼付近(※)を走っていたら、道の傍らの石祠に、こんな飾りが。
こちらの祠については、かなり以前になりますが、ブログで触れたことがあります。
つくばプチ民俗学・・・路傍のいろいろ(3) お供え観察
ちなみに、こちらの石祠は、『谷田部町の石仏』(谷田部町教育委員会)には記載がありません。
(記載漏れの石造物、まだまだ多いように思います)
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※(2/27追記)
Kame,Y( @kame_matsuri )さんより、
『住所ですが近くの電柱の表記は上原になっていました。集落は西大沼の方が近いですが上原地区の祭かもしれません』
というご教示を頂きました。 ありがとうございました!
この記事冒頭で『西大沼付近』と書いておりますが、地図をよく見ると、現地は西大沼地区と上原地区のちょうど境目付近で、
祠のある場所は、ご指摘のように上原地区になっています。
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祠の脇に立てられた的らしいものと、落ちている弓と矢らいしいものから判断して、
『おびしゃ』を行ったのではないかなぁと推察。
的になったらしい紙の様子などから、ここ数日のうち(多分1日・2日以内?)に祭事を行った様子。
『おびしゃ』とは弓神事の一種で、文献(『茨城の神事』 茨城県神社庁)によると、
『神前の的に向かって矢を放ち、その当たり具合で神意を図る神事』
とのこと。
馬に乗って的に矢を射る『流鏑馬(やぶさめ)』に対し、徒歩で的に矢を射るのが『おびしゃ』と呼ばれるようで、『御歩射(おぶしゃ)』とも『奉射』とも言われるようです。
また、上記文献によると、
『流鏑馬は県内各地にみられるが、おびしゃは利根川や鬼怒川などの流域に集中し、県南・県西に分布する』
とのこと。
『的には三本足の鳥と野兎を描くところや、鬼の字を書くところなどがある。鳥は太陽、兎は月の象徴で、日月が正順ならば豊年ということであった』
という記載もあります。
篠竹の上には、的らしい、輪に張られた紙が。
当初は立っていたものが、風で倒れて下にぶら下がっている状態なのではないかと推察。
矢で射ぬかれたようで、大きな穴が開いています。
祠の脇には、同じく篠竹で作られたらしい弓が落ちていました。
(本当は石祠に立てかけられていたのが、前日の強風(春一番でしたね♪)で飛ばされたのかもしれません)
矢らしいものも落ちています。
紙で作られたらしい羽もついています。
こちらの祠で行われたのが『おびしゃ』だと仮定しますと、
上の文献によると、的には
三本足の鳥や兎
『鬼』の字
などが描かれている
とのこと。
こちらの的にも、的を示す円とともに、文字らしいものが描かれています。
倒れて逆さまになっているので、的だけをアップにして写真上下をひっくり返してみました。
反対側からみたものも、アップにして上下ひっくり返してみました。
う~ん、何と言う文字かわかりません。
『鬼』でないのは確か
ご存じの方、ご教示下さいm(_ _)m
※文字?と図?が、よーく見ると、表と裏とでちょっと違うようなのですが・・・?
特に弓で射られた穴が重なっている下の文字(?)
すごく不思議。
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(2/26追記)
現地に行かれてご覧になった Kame,Y( @kame_matsuri )さんより、
『「奉納」と書いてある気がする』
という情報を頂きました。
(3/7追記)
また上記2つの上方に加え、更にKame,Y( @kame_matsuri )さんより、
『昭和43年発行の「昭和42年度 筑波研究学園都市地区 民俗資料緊急調査報告書」に 上原では初午の日にツギの木で作った数組の弓と矢で「奉納」と書いた的を射る。と書かれた文献を発見しました。時期も初午に近く、これではないかと思います。』
『同書の調査は50年前の ものですから、もしかしたら今は形だけになっているのかもしれません。来年の初午には見に行きたいと思います。』
という情報を頂きました!
同書は私もコピーを持っていたのですが、すっかり忘れており、確認してみると、 Kame,Y( @kame_matsuri )さんのご教示のように、上原での初午の行事が詳しく書かれていました。
私も忘れないようにして、来年の初午の頃に現地で確認したいです。
Kame,Y( @kame_matsuri )さん、たくさんのご教示、本当にありがとうございました!
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茨城県神社庁の『茨城の神事』 には、県内の『おびしゃ』神事を行う神社の分布が地図に書かれています。
それによると13箇所で行われているそう。
今回見た石祠の『おびしゃ』は、茨城県神社庁管轄ではないためでしょうか、記載はありません。
同じように、無名の地元密着の祠で、同様の弓神事は、地元の人に受け継がれて、ひっそりと行われている場所は、他にもあるのだろうなぁと思います。
市制30周年が経ったつくば市。
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消えてしまう前に、きちんと記録をしてほしいと切に願います。
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【参考文献】
・ 『茨城の神事』 茨城県神社庁
・『昭和42年度 筑波研究学園都市地区 民俗資料緊急調査報告書』 茨城県教育委員会
※『オビシャ』については、千葉県や埼玉県などの幾つかの自治体のHPでも解説している所がありますので、検索エンジンで『おびしゃ』『オビシャ』で調べて見てください。
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (三)
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (二)
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (一)
茨城3つの養蚕信仰の聖地について(9) 地元の方から教えて頂いた神栖に伝わるお話
国立歴史民俗博物館 企画展 『陰陽師とは何者か』 を見て
映画『石岡タロー』
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (二)
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (一)
茨城3つの養蚕信仰の聖地について(9) 地元の方から教えて頂いた神栖に伝わるお話
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Posted by かるだ もん at 17:14│Comments(0)│茨城&つくば プチ民俗学・歴史
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