2010年08月22日
辻に立つ大人形(人形道祖神)
つくばプチ民俗学 (茨城プチ民俗学) 辻に立つ大人形(人形道祖神)
(初出:2010年8月22日 21時54分)
もう、15年ぐらい前になるのですが、つくばの谷田部にある資料館だったか、土浦の市立博物館だったかで、ワラで作られた超巨大な人形 が展示されているのを見てびっくりした記憶があります。
確か説明には名前は「鹿島様」と書かれていたかと思います。
巨体(体長3mはあったか)なので、構造も編み込み方もがっちりしていて、「これを作って祀っているところがあるんだ」と感激しました。
そんな記憶も薄れた今から3~4年前のある夏の日、石岡から土浦に向かって車を走らせていました。6号が渋滞していたので迂回すべく、石岡南部、かすみがうら市(旧出島村)付近の山の中を走行中、巨大な人形が道端にある のに気付き、「 今のは何!? 」とたまげました。
それは昔、資料館(博物館)で見た「鹿島様」とは違って、ワラとスギ(と思われる)の葉とナスで作られていました。
「あれは、なんだったのだろう・・・」とずっと気になり、調べているうちに、「人形道祖神」というものを知りました。
というわけで先日、記憶を頼りに石岡・かすみがうら市方面に行ってみました。
「スーパーマップル 茨城県道路地図 10,000 (2000年4月版)」(←古い~)では「井関」と書かれている地域(石岡市)で、2体見つけました。
大人形1
右手の槍(?)が長い。腰のしめ縄も特徴。
大人形2
「ピグモン」に似ている ような。
どちらも道路の辻に置かれていました。身長は160cm前後くらいでしょうか。
右手に持つ槍(?)と左脇の刀がいかめしい。
胴体の主要パーツ(?)の茄子も印象的です。
やっぱり、道祖神と茄子って関係深い気がします。
「茨城県石岡市井関ではダイダラ法師とか大人形(おおにんぎょう)といわれる巨大人形を集落境に立てる。盆後の旧七月十七日(今は八月同日)の行事で、厄除けのために刀を持ってにらみをきかせている」(参考文献1)
「天明の飢饉では、村人が苦しさのあまり、おにぎり三つと田畑を交換した人もいたと伝えられる。そして、この頃疫病が村落に入らないように大人形を立てたともいう。」(参考文献2)
このような辻や集落のはずれに置かれる大きな人形を、「人形道祖神」ともいうそうです(参考文献3)
例えば、上記の大人形2の置かれている場所は・・・。
人形から見て左方面の景色
人形から見て右方面の景色
ご覧のように、確かに集落のはずれに位置しています。
さて、人形の胴体や部分の構成は、昔(参考文献の写真)と同じですが、描かれている顔立ちは、昔の資料とは少し違っていて、伝統を受け継ぎながらも、現在の作り手の創意が出ていて良いなぁと思いました。
昔よりもイケメンになっているかな。イケメンでもヤサ男系でなく、もちろん頼れる系です 。
集落の終わりあたりの辻に置かれて、ガッチリ集落を守っています!
ところで、ここのエリアでは、道のところどころに、竹の竿に留められたお札が立てられているのに気がつきました(つくば、土浦でも時々見かけますが)。
車がぶつかりやすそうな場所や電信柱にあったりしたので、衝突除けの意味のお札でしょうか。
走行する車から見たので、見間違いもあるかもしれませんが、お札には「鹿島」という字が見えたので、鹿島神宮か、近くにあるのかもしれない鹿島社のお札なのでしょうか。
冒頭に述べた「鹿島様」とも信仰的に関連があるのかも? 興味はつきません。
それにしても、以前見た山の中の大人形は今回見つけられなかったのがちょっと残念。あれは、どこで見たんだろう・・・?
参考文献
1.「目で見る民俗神 第三巻 境と辻の神」萩原秀三郎著 東京美術
2.「平穏を願う 東日本のわら人形<写真集>」 新里源治著 フォト民俗社
3.「あるく みる きく vol.144」pp.4-33 「わら人形を訪ねて」「人形道祖神さまざま」神野善治著 近畿日本ツーリスト発行
(初出:2010年8月22日 21時54分)
もう、15年ぐらい前になるのですが、つくばの谷田部にある資料館だったか、土浦の市立博物館だったかで、ワラで作られた超巨大な人形 が展示されているのを見てびっくりした記憶があります。
確か説明には名前は「鹿島様」と書かれていたかと思います。
巨体(体長3mはあったか)なので、構造も編み込み方もがっちりしていて、「これを作って祀っているところがあるんだ」と感激しました。
そんな記憶も薄れた今から3~4年前のある夏の日、石岡から土浦に向かって車を走らせていました。6号が渋滞していたので迂回すべく、石岡南部、かすみがうら市(旧出島村)付近の山の中を走行中、巨大な人形が道端にある のに気付き、「 今のは何!? 」とたまげました。
それは昔、資料館(博物館)で見た「鹿島様」とは違って、ワラとスギ(と思われる)の葉とナスで作られていました。
「あれは、なんだったのだろう・・・」とずっと気になり、調べているうちに、「人形道祖神」というものを知りました。
というわけで先日、記憶を頼りに石岡・かすみがうら市方面に行ってみました。
「スーパーマップル 茨城県道路地図 10,000 (2000年4月版)」(←古い~)では「井関」と書かれている地域(石岡市)で、2体見つけました。
大人形1
右手の槍(?)が長い。腰のしめ縄も特徴。
大人形2
「ピグモン」に似ている ような。
どちらも道路の辻に置かれていました。身長は160cm前後くらいでしょうか。
右手に持つ槍(?)と左脇の刀がいかめしい。
胴体の主要パーツ(?)の茄子も印象的です。
やっぱり、道祖神と茄子って関係深い気がします。
「茨城県石岡市井関ではダイダラ法師とか大人形(おおにんぎょう)といわれる巨大人形を集落境に立てる。盆後の旧七月十七日(今は八月同日)の行事で、厄除けのために刀を持ってにらみをきかせている」(参考文献1)
「天明の飢饉では、村人が苦しさのあまり、おにぎり三つと田畑を交換した人もいたと伝えられる。そして、この頃疫病が村落に入らないように大人形を立てたともいう。」(参考文献2)
このような辻や集落のはずれに置かれる大きな人形を、「人形道祖神」ともいうそうです(参考文献3)
例えば、上記の大人形2の置かれている場所は・・・。
人形から見て左方面の景色
人形から見て右方面の景色
ご覧のように、確かに集落のはずれに位置しています。
さて、人形の胴体や部分の構成は、昔(参考文献の写真)と同じですが、描かれている顔立ちは、昔の資料とは少し違っていて、伝統を受け継ぎながらも、現在の作り手の創意が出ていて良いなぁと思いました。
昔よりもイケメンになっているかな。イケメンでもヤサ男系でなく、もちろん頼れる系です 。
集落の終わりあたりの辻に置かれて、ガッチリ集落を守っています!
ところで、ここのエリアでは、道のところどころに、竹の竿に留められたお札が立てられているのに気がつきました(つくば、土浦でも時々見かけますが)。
車がぶつかりやすそうな場所や電信柱にあったりしたので、衝突除けの意味のお札でしょうか。
走行する車から見たので、見間違いもあるかもしれませんが、お札には「鹿島」という字が見えたので、鹿島神宮か、近くにあるのかもしれない鹿島社のお札なのでしょうか。
冒頭に述べた「鹿島様」とも信仰的に関連があるのかも? 興味はつきません。
それにしても、以前見た山の中の大人形は今回見つけられなかったのがちょっと残念。あれは、どこで見たんだろう・・・?
参考文献
1.「目で見る民俗神 第三巻 境と辻の神」萩原秀三郎著 東京美術
2.「平穏を願う 東日本のわら人形<写真集>」 新里源治著 フォト民俗社
3.「あるく みる きく vol.144」pp.4-33 「わら人形を訪ねて」「人形道祖神さまざま」神野善治著 近畿日本ツーリスト発行
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (三)
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (二)
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (一)
茨城3つの養蚕信仰の聖地について(9) 地元の方から教えて頂いた神栖に伝わるお話
国立歴史民俗博物館 企画展 『陰陽師とは何者か』 を見て
映画『石岡タロー』
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (二)
落語『紋三郎稲荷』 の舞台を訪ねて (一)
茨城3つの養蚕信仰の聖地について(9) 地元の方から教えて頂いた神栖に伝わるお話
国立歴史民俗博物館 企画展 『陰陽師とは何者か』 を見て
映画『石岡タロー』
Posted by かるだ もん at 21:54│Comments(0)│茨城&つくば プチ民俗学・歴史
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