シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (7) 橘川・迎来橋(前編)


江戸中期の”ガイドブック” 『筑波山名跡誌』(上生菴亮盛 著)(文献1)に書かれた名所・旧跡を訪ね、興味のおもむくまま♪ 関連する話題も調べるシリーズです。
(筑波山名跡誌に記載されている順ではありませんので、その点、ご了承ください)

今までのお話
豆電球シリーズ『筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて』 (1)常陸帯宮(前編)
豆電球シリーズ『筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて』 (1) 常陸帯宮(後編)
豆電球 シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (2) 男女川(水源)
豆電球シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (3)夫女之原、夫女石
豆電球シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (4)亀之岳
豆電球シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」(5)観流庵(前編)
豆電球シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (5)観流庵(後編)
豆電球 シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (6) 酒香川


第7回は、『橘川(たちばながわ)と 迎来橋(こうらいのはし)』を2回に分けて紹介します。

筑波山名跡誌では、『橘川 迎来橋』 と、二つで一つの項目で紹介されいてます。
前編の今回は橘川』についてです。


【橘の香りがする橘川】

筑波山名跡誌の『橘川 迎来橋』の項には、
筑波麓臼井村の耕地の用水川也。
とあります。
当時から、橘川は、農業用水路だったようです。

同書では続いて、
橘は此山の名物にて、水東谷より流れ落る。水気橘の匂あれば、土人橘川と号する也。
とあります。

つまり、筑波山は橘が名産なので、山の東谷より流れる川の水には橘の香りがするので、土地の人は『橘川』と呼んでいたとのことなのです。

といえば、やはり、筑波山の名物キラキラふくれみかん(福来みかん)キラキラが浮かびますよね♪

ただし、橘の香りといっても、2種類あるかと思います。

1つは、『橘の実』の香り。つまり柑橘系の香り

もう1つは、『橘の花』の香り。ジャスミンの花にも似た甘い香りです。

どちらも大好き♪ハート

橘川の『橘』の香りは、どちらの香りだったのでしょう?ハート

多分、季節によっても違いますよねハート
橘の花が香る初夏か、実が成る秋~冬か。
どちらも、良い香りハート



写真は2018年1月に撮影。
ふくれみかんを栽培する畑。









こちらは民家の庭に植えられていた柑橘類の実。
多分、大実のキンカンのように思われます。
美味しそう♪








こちらは初夏に咲く、ふくれみかん(福来みかん)の花。
2012年6月撮影。撮影場所は、臼井よりちょっと上の、清水~西山通り付近にて。
近くを歩くと、とても良い香りがします。






【橘川はどこを流れる?】

さて、その『橘川』、いったいどこを流れる川なのでしょうか?

筑波山名跡誌の記述より、
・場所は 臼井の集落近くらしい
・当時から農業用水路

ことだけわかります。

ここで『常陸国筑波山縁起』(国立公文書館所蔵)の絵図(文献2)を見てみると…

神郡・田井の集落から筑波山へ向かう、いわゆる『つくば道』(県道筑波山)は、
鴨居川(逆川、酒香川)を渡ります。

そして臼井の集落にさしかかるところに流れる細い川に、
橘川』と書かれています。

同書の絵図では、橘川は、鴨居川(=逆川、酒香川※)の北部を、鴨居川と平行に流れる細い川として描かれています。

橘川の流れは、まず臼井村の東を流れ下り(千手川のようにも見えますが絵図なので詳細は不明)、臼井村の南側で向きを西に変え、山から流れ落ちる別の川(男女川か?)に合流するように描かれています。

ちなみに、鴨居川(逆川)も、この男女川らしい川に(橘川より南で)合流するように描かれています。
『常陸国筑波山縁起』の絵図は、イラストっぽいので、やや正確さに欠けるかもしれませんが、ひどく間違っていないないでしょう。

 ※豆電球 この鴨居川=逆川=酒香川 につきましては、前回の記事
   → シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (6) 酒香川




現地に行くと、今も細い用水路が流れています。

写真(2018年1月撮影)で、写真右にある、用水路と並行する道(手前から奥に向かう道)は、六所神社跡付近~旧筑波鉄道筑波駅跡付近をつなぐ道で、そこに交差する道(写真中央左から右に通る道)は、『つくば道』です。

写真は、六社神社跡方面を背に、旧筑波鉄道筑波駅跡方面を望んでいます。

この、道の脇を流れる細い用水路が、江戸時代の橘川に該当するように思います。

この用水路の上流は、筑波山麓フットパスマップ(文献5)を見ると、この地点より高い位置にある臼井の集落の中にあるようです。

なお、元禄七年(1694年)の筑波町沼田村と臼井村神郡村水論裁許絵図(文献3、4)は、その性格上、かなり流れを正確に描いたものと思われますが、フットパスマップ(文献5)を見ると、現在の川の流れや農業用水路は、当時と変わっているようです。

それにしても、古くからの名産 橘の香りがするからの名づけられた『橘川キラキラ
素敵な名前ですよね!ハート

ただ残念なことに地元でも忘れ去られてしまったようで、ここを訪ねた時に、道におられた二人組の方に
『橘川というのがあるどうなのですが、どこでしょうか?』
と尋ねたら
、『ここで生まれ育ったのですが、橘川という名前は聞いたことありません…』
と言われてしまいました。

名産ふくれみかんの木は、現在も川の流れ沿いのあちこちの民家で見かけますし、是非、優雅な『橘川』という名前を復活キラキラさせて、看板に掲げたら良いのになぁと思います(^^)

後編に続きますちょき

シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (7) 橘川・迎来橋(後編)



*************************************************************************
【参考文献】

1.『筑波山名跡誌 ―安永期の貴重な地誌再現―』 上生庵亮盛 著 桐原光明 解説  筑波書林

2.『平成24年度特別展 筑波山―神と仏の御座す山―』 茨城県立歴史館 編集・発行
   p.90 『常陸国筑波山縁起 下巻 「筑波山南面の図」』

3.『いまに残る郷土の文化遺産 つくばの古絵図』
   p.32-33 『筑波町沼田村と臼井村神郡村水論裁許絵図』
   元禄七年(1694年)

4.『関東の名山 筑波山 筑波山神社案内記』
   p.34-35 『筑波町沼田村と臼井村神郡村水論裁許絵図写』
元禄七年(1694年)原図の写し

5.『筑波山麓フットパス 神郡~六所~筑波』マップ つくば市 発行





同じカテゴリー(茨城&つくば プチ民俗学・歴史)の記事画像
絵解きに挑戦!筑波山神社境内社の装飾彫刻3 ~日枝神社(2)
絵解きに挑戦!筑波山神社境内社の装飾彫刻3 ~日枝神社(1)
シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (7) 橘川・迎来橋(後編)
飯名神社の初巳祭 と 真壁伝承館の企画展『追憶の筑波鉄道』
シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (6) 酒香川
絵解きに挑戦!筑波山神社境内社の装飾彫刻2 ~春日神社日枝神社両社拝殿
同じカテゴリー(茨城&つくば プチ民俗学・歴史)の記事
 絵解きに挑戦!筑波山神社境内社の装飾彫刻3 ~日枝神社(2) (2018-05-23 23:39)
 絵解きに挑戦!筑波山神社境内社の装飾彫刻3 ~日枝神社(1) (2018-05-19 00:10)
 シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (7) 橘川・迎来橋(後編) (2018-03-08 22:22)
 飯名神社の初巳祭 と 真壁伝承館の企画展『追憶の筑波鉄道』 (2018-02-21 22:05)
 シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (6) 酒香川 (2018-02-16 20:39)
 絵解きに挑戦!筑波山神社境内社の装飾彫刻2 ~春日神社日枝神社両社拝殿 (2018-02-08 22:49)
Posted by かるだ もん at 22:04│Comments(0)茨城&つくば プチ民俗学・歴史
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
コメントフォーム
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
プロフィール
かるだ もん
かるだ もん
徒然なるままに、興味のあることを気ままに書いています。好きなことばは「中途半端も、たくさん集まればいっぱい!」(ドラマのセリフ)

地元つくばや茨城の話題を中心に、茨城の食材を使った家庭料理、民俗学もどき、国際交流、旅の話題など、趣味の記事を掲載中。

特に自分の勉強も兼ねて、
★民話・伝説紹介と、それにちなむ土地めぐり
★茨城を中心に、全国の郷土料理と食材(世界の料理も含む)の話題
の話題が多いです。

・ヒッポファミリークラブ(多言語自然習得活動と国際交流)
・観光ボランティア
・郷土食研究会うまかっぺ!茨城



オーナーへメッセージ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 4人
アクセスカウンタ
QRコード
QRCODE