桜川・椎尾山薬王院の龍の天井画の伝説


筑波山の男体山の北側(桜川市)の山の中腹に、古刹 椎尾山薬王院があります。
立派な三重塔(茨城県指定文化財)で有名です。

 豆電球椎尾山薬王院については、以前書いた記事もご参考まで
  → 茨城の古刹の三重塔~前編~ 早春の椎尾山薬王院を訪ねて


桜川・椎尾山薬王院の龍の天井画の伝説
山門
(以下、写真は2017年3月撮影)

ここから急な階段を上がると・・・






桜川・椎尾山薬王院の龍の天井画の伝説
本堂(桜川市指定文化財)









桜川・椎尾山薬王院の龍の天井画の伝説
本堂に向かって左手奥に、茨城県指定文化財の三重塔。









冒頭で紹介した、以前の記事でもちょっと触れていますが、こちらの本堂の天井には、躍動感あふれる、立派な龍の絵が描かれています。

それが、日光東照宮の『鳴き龍』を彷彿させるような、見事な龍の絵なのです!キラキラ

何かあるぞ・・・と私の野生のカンが言っておりました。
すると、やはり!
ありましたよ、まつわる話が!ちょき
茨城県の民話と伝説 上 ふるさとの自然と動物』(藤田 稔 著)に、この龍の絵にまつわる昔話を見つけたのでご紹介します。

【あらすじ】

昔、薬王院の境内には大きな池があって、鯉がたくさんいました。
ところが、その鯉が一匹ずつ減っていくのに、住職が気付き、見張っていると・・・、
真夜中に本堂から長い影が伸びているのを発見。
住職が大声を出すと、その影は大きな物音を立てて消えてしまいました。
住職が急いで本堂を見に行くと、床の上を鯉が跳ねています。
上を見ると、天井に描かれた龍の口が濡れいるのを発見!
この龍の(絵の)しわざだど住職は気付き、天井の龍の絵の目に、太い釘を打ち付けると、それ以来、池の鯉は減らなくなりました。


この話に納得できるくらい、力強く躍動感のある龍の天井画なのです!


桜川・椎尾山薬王院の龍の天井画の伝説
古い絵馬がたくさん奉納されている、一般の人がお参りする場(『外陣』というのでしょうか)の天井に描かれています。

横木を真中に、向かって左手が下半身と尾。
向かって右手が頭と上半身
(『写真を撮って大丈夫です』とのお寺の方のお許しを得て撮影)


桜川・椎尾山薬王院の龍の天井画の伝説
頭と上半身。
タダものでない龍のたたずまい!
確かに、夜中に池の鯉を食べに出てきそうですびっくり

たぶん、この龍の絵が、伝説の龍の天井画ではないかと思います。
目の部分に釘が打ち付けられているのか(またはその跡があるのか)は不明。
※訪れたときには、この伝説をまだ知らなかったので。
また再訪する時に、お寺の方に訊いてみたいです。

訪れた時にこの龍の天井画が気になっていたので、今回この伝説を見つけた時は、
『やっぱり!』
と何だかすごく嬉しかったグッド


以前も書きましたが、椎尾山薬王院は、もっともっと知られて良いお寺だと思いますキラキラ

筑波山の南側(つくば市側)は、明治初頭の廃仏毀釈の嵐で、壊滅的被害(被害と言っていいと思います)にあっていますが、
筑波山北側の桜川市の方は、古刹が何か所も残っていて本当に良かったと、強く思います。

※全体的に筑波山系とその周辺は、茨城県内でも古い寺院が残っている『奇跡的な』エリアですグッド

これらの寺院の数々はもっと知られて良いといつも感じます。


【椎尾山薬王院への行き方】
椎尾山薬王院へは、車でも行けますが、道がやや細いのが難点。

筑波山梅林の駐車場に車を停めて、最近整備されたウォーキングコース(筑波山四季の道)で行くのも気持ちよさそうです。

筑波山登山も良いですが、周辺のウォーキングもお勧めですちょき


ご参考: 『鯉』つながりで

『鯉』の話題では、以前書いた、こちらの記事も良かったら♪

茨城由来の冬の季語『蓑和田の鯉取り』を探る(1)

茨城由来の冬の季語『蓑和田鯉の鯉取り』を探る(2)

茨城由来の冬の季語『蓑和田鯉の鯉取り』を探る(3)



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【参考文献】

1. 『茨城県の民話と伝説 上 ふるさとの自然と動物』 藤田 稔 著 有峰書店


【参考ホームページ】

1. 桜川市ホームページ
http://www.city.sakuragawa.lg.jp/page/page000452.html

2. 桜川市観光協会ホームページ
http://www.kankou-sakuragawa.jp/page/page000063.html










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