シリーズ『筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて』(1) 常陸帯宮(後編)


江戸中期の”ガイドブック” 『筑波山名跡誌』(上生菴亮盛 著)に書かれた名所・旧跡を訪ね、興味のおもむくまま♪ 関連する話題も調べるシリーズです。

前回 → シリーズ筑波山名跡誌 (1) 常陸帯宮(前編) からの続きです。

前回は、筑波山(男体山頂近く)にある、『常陸帯宮(常陸帯神社)』の祠を訪ねた話題でした。

筑波山神社ホームページの『筑波山神社由緒』の『沿革』の中にある一文、

次いで神功皇后三韓征伐の砌、敵国降伏のために御勅願あり、且つ応仁天皇御懐妊あるを以て安産を祈り給い、御凱陣の後神田を寄せ給うと共に御腹帯を当神社に納め給うた。これ当山の秘社常陸帯(ひたちおび)宮創祀の由緒で、神領民には鹿島神宮祭頭祭、御造営の料を充てることを御勅免あらせられ、鎌倉・徳川の世もまた旧慣により免ざられた。』

で、鹿島神宮とのことが触れられています。

これを読むと、『常陸帯』なるものは、オリジナルは筑波山に納められなぜか鹿島神宮から『鹿島神宮祭頭祭、御造営の料を充てることを御勅免』させてもらい、それが江戸時代まで続いたように読めますよね?

そして勘繰ると、鹿島神宮が『常陸帯』を使う権利を筑波山から譲り受けた故に、祭頭祭、御造営の料の支払いを徳川の世まで(明治になるまで)しなくて済んだ・・・と読めちゃいますよね・・・? 

ということで、鹿島神宮の『常陸帯』について調べてみました。


②鹿島神宮の『常陸帯』

常陸帯』をご存知ですか?
私は、安産のお札のついた、妊婦さん用の腹帯だと思っていましたが、調べると以下の2つの意味があるようなのです。

(ⅰ) 妊婦さん用の腹帯(もしくは安産祈願の御守)。
(ⅱ) 縁結びを占いの紐。


文献2によると、『常陸帯』は鹿島神宮の特別な宝物の1つで、
昔から本殿の奥深く箱の中に納められていて開けられることはありません
とのこと!



鹿嶋市にある、鹿島神宮。 常陸国一の宮。
(写真は2010年9月撮影のもの)


以下、文献2からそのまま引用します。
由来は神功皇后が鹿島の神の守護を仰いで、後の応神天皇をお産みになり、「生命の鹿島立ち」、つまり安産ということで、その御腹帯を献上されたと伝えられています。

それにちなんで『安産のお守り』として『常陸帯』守りが、鹿島神宮で授与されているそうです。

また文献3によると、明治維新前には年中行事として『常陸帯神事』が毎年1月14日に行われていたようで、
常陸帯神事は、神功皇后奉納と伝える御腹帯を神宮寺の観音堂にうつして行った
とあります。

※文献2、3より、明治維新前は、宝物の『常陸帯(御腹帯)』を神宮寺観音堂にうつして常陸帯神事を行っていたけれど、維新後は現在に至るまで本殿奥深くに箱に納められて開けられることはない・・・ということでしょうか。

さて、文献4には、安産祈願と縁結びの両方の風習が記載されていて、

安産祈願』については、
鹿嶋市からちょっと離れた、(旧)内原町(現在の水戸市内原町)の中坪地区・下坪地区で行われている(同書発行1987年時点)、安産祈願の子安講で、鹿島神宮の神札と常陸帯が納められた木箱を、お産のあるお宅で受け取って朝晩拝む・・・という話が紹介されています。

そして『縁結び』については、
この常陸帯は縁結びにも使われました。男女が布の帯に意中の人の名を書いて、鹿島の神に供え、巫女がそれを結んで分けることによって、結婚を占いました』(文献4)
だそうです。

なお、2011年10月18日に、薪能『常陸帯』が鹿島神宮境内で126年ぶりに上演されたという新聞記事を記憶しています。
明治以来途絶えていたものを、東日本大震災復興祈願で、126年ぶりに復曲され上演されたものだそうです。

豆電球詳細: 鹿嶋市ホームページ 「町の話題」>「鹿島神宮で126年ぶりに薪能『常陸帯』

豆電球また参考までに: 文化庁ホームページ >「文化庁月報」 平成24年7月号(No.526)「連載 文化芸術のいざない」
にも、復曲能『常陸帯』 の話題が書かれています。

この文化庁月報の記事によると、能 『常陸帯』は、
神事のもと、男女が出会って、多少すったもんだ(←ドラマの定番♪)があった後、結ばれる・・・というあらすじのようです。
つまり、『縁結び』のお話。


以上をまとめると、鹿島神宮の『常陸帯』には、
安産祈願』 と 『縁結び』の
二つの信仰があるということですね笑
もしくは、安産祈願に使われるものも、縁結びに使われるものも、どちらも『常陸帯』と呼ばれたということでしょうか。

ちなみに、現在の鹿島神宮のホームページ
を見ると、
★『常陸帯』 守 ← 安産のお守り
★『鹿島の帯占い』 ← 縁結びの占い
が授与されてます笑


③筑波山の『常陸帯社』と 鹿島神宮の関係

筑波山の『常陸帯社』は、先にも掲載した、筑波山神社ホームページの『筑波山神社由緒』の『沿革』に記載されているような鹿島神宮との関係は、鹿島神宮関係の文献(私が手に入れられる程度の文献・・・)には全く書かれていません。

そこで、鹿島神宮から筑波山神社に異動された神職の方が『鹿島神宮と筑波山の関係をいろいろ考察されている書籍(文献5)も読んでみました。
筑波山の『常陸帯宮(常陸帯神社)』と鹿島神宮の関係について、当然書かれていると期待していたのですが、不思議なことに『常陸宮社』については、全く触れられていないのです。

文献5には、『筑波山名跡誌』に記載のある内容にもいくつか言及されています。
しかし、同じく『筑波山名跡誌』に記載のある『常陸帯宮』については、文献5は触れていないのです。
残念・・・。(まるで隠しているような。。。ごにょごにょ(^m^))

・・・そのあたりは置いておいて、『筑波山名跡誌』の記事に戻ると、前回にも書いたように、筑波山の『常陸帯宮』の祭神は長道磐神
現在の筑波山神社のホームページに記載のある 『神功皇后の腹帯』とはまた違う信仰体系のように思います。

まあ、信仰はいろんなものが混交しているものですし、実際、現時点では記録はほとんど残っていないようなので、
素人としては、筑波山信仰と鹿嶋信仰の歴史にも関わる、古代史のミステリーに勝手にワクワクすることにしましょう♪キラキラ

で、そのワクワク♪ですが、やはり筑波山神社のホームページの『常陸帯社』の由来と、一文
『これ当山の秘社常陸帯(ひたちおび)宮創祀の由緒で、神領民には鹿島神宮祭頭祭、御造営の料を充てることを御勅免あらせられ、鎌倉・徳川の世もまた旧慣により免ざられた』
は、無視できません!
絶対、昔に何かあったニオイがしませんか?

とういことで、『常陸帯社』の由来は、ロマンを感じる筑波山神社のホームページの記載を信じたいちょき

豆電球それでいくと、

まずツツジの季節に、筑波山の『常陸帯宮』を参拝
誓願つつじ、満願つつじ』を思って、ツツジの木を見つけたら良縁を祈願(決して木は傷つけないこと!)。
また、当然、夫婦神(筑波男神・筑波女神)である、筑波山(男体山・女体山)にも参拝。
 
次に鹿嶋市に行って、常陸一之宮の鹿島神宮に参拝する
安産祈願には常陸帯守を、縁結びには鹿島の帯占いにもトライ♪
 
この順序だと、縁結びにも、安産祈願にも、より御利益がありそう!ですよねグッド


『シリーズ筑波山名跡誌、ぼちぼちとゆっくり更新していきますにこにこ

続きます。
シリーズ「筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて」 (2)男女川(水源)


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【参考文献】

1. 『筑波山名跡誌 安永期の貴重な地誌再現』 上生庵亮盛 著 桐原光明 解説 (ふるさと文庫) 筑波書林 

2. 『鹿嶋ものしりハンドブック』 鹿嶋市・鹿嶋市教育委員会・鹿嶋ものしりハンドブック編集委員会 編集 鹿嶋市まちづくり市民センター

3. 『鹿島神宮』 東実 著 学生社

4. 『茨城242社寺ご利益ガイド』 今瀬文也 著 茨城新聞社

5. 『古代筑波の謎』 矢作幸雄 著 学生社













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徒然なるままに、興味のあることを気ままに書いています。好きなことばは「中途半端も、たくさん集まればいっぱい!」(ドラマのセリフ)

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