シリーズ『筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて』 (1)常陸帯宮(前編)


江戸時代中期に書かれた、筑波山のガイドブックの元祖のような書籍があります。
筑波山名跡誌』と言います。

著者は、上生菴亮盛
当時筑波山にあった知足院中禅寺の僧侶だったと聞いたことがあります。

この『筑波山名跡誌』の全文は、筑波町史の資料編にも掲載されています、
また筑波書林からは解説もついた『筑波山名跡誌 安永期の貴重な地誌再現』上生庵亮盛著 ; 桐原光明解説(文献1)という良書も出ています。
いずれも、つくば市の図書館で閲覧出来るのでご存じの方も多いでしょう。


  豆電球ちなみに『筑波山名跡誌』を参考にした話題は、過去にも記事にしていますので、良かったらご参考まで笑
 掲載の古い順です。

  ・筑波山伝説ミステリー!? 見えてくる歴史(2)

  ・消えた筑波山の「お宝」を巡って!(後編)

  ・茨城こんなもの見つけた♪(19) 「つくばね御守」と「つくばね」の実

  ・古の『夫婦餅』を想い、筑波山頂で串餅と味噌田楽を食す。

  ・元々は筑波山にあった、東京・護国寺の瑜祇(ゆぎ)塔
 



筑波山の歴史や名所案内の古くからのネタ本となっている『筑波山名跡誌』キラキラ
ここに書かれた史跡・名跡を、少しずつ訪ねてご紹介していこうと思います。

ただし、同書に掲載された順ではありませんので、ご了承ください。
(また、行けるところだけをご紹介します。現在は一般には立ち入り出来ない場所もありますので)

第1回は、『常陸帯宮』です。


(1) 常陸帯宮

① 筑波山の常陸帯宮

『筑波山名跡誌』(文献1)に、『常陸帯宮』の紹介があります。
同書によると、祭神は『長道磐神(ながみちはばのかみ)』

どういう神様かというと、文献1によると、
神代巻(日本書紀神代巻か?)に、イザナギノミコトが誓って投げた帯が、このナガミチハバノカミになったという記載があるとのこと。
※このあたりは、日本書紀神代巻を読まないと分からないですね・・・。
 ちなみに文献1では『長道磐神』を『ながみちはばのかみ』とルビをふっています。調べてみると『ながちはのかみ』と読むこともあるようですが、ここでは文献1に従って『ながみちはばのかみ』とします。

続けて同書には、この常陸帯宮の社の周りにはツツジが多く
此の木に縁結びすれば必ず男女好逑(※註))ありと。俗に誓願つつじ満願つつじといふ』とありますハート
※ 好逑:こんにし/こんきゅう = よきつれあい (文献1の注釈より)

なんと、直球の縁結びスポット! しかも少なくとも江戸時代中期から続いている!

ところで、筑波山神社のホームページの『筑波山神社とは』ページ
http://www.tsukubasanjinja.jp/about/about.html
にある『筑波山神社由緒』の『沿革』の中に、

次いで神功皇后三韓征伐の砌、敵国降伏のために御勅願あり、且つ応仁天皇御懐妊あるを以て安産を祈り給い、御凱陣の後神田を寄せ給うと共に御腹帯を当神社に納め給うた。これ当山の秘社常陸帯(ひたちおび)宮創祀の由緒で、神領民には鹿島神宮祭頭祭、御造営の料を充てることを御勅免あらせられ、鎌倉・徳川の世もまた旧慣により免ざられた。

という一文があり、上記『筑波山名跡誌』にある由来とはまた別のことが書かれています。

当山の秘社 常陸帯宮(ひたちおび)創祀の由緒

御腹帯を当山に納め給うた

そして、
神領民には鹿島神宮祭頭祭、御造営の料を充てることを御勅免あらせられ、鎌倉・徳川の世もまた旧慣により免ざられた

『常陸帯』については、(後編)で書きますが、これは結構ミステリーです♪びっくり


・・・ということで、とにかく、筑波山神社も書いている『当山の秘社』! の『常陸帯宮』に行ってみました(写真は2016年10月登山のもの)。


男体山頂を目指します。



男体山本殿。
こちらも『筑波山名跡誌』で『男体権現』の項目で紹介されています・・・が、こちらはいずれまたの機会にご紹介。








男体山本殿からやや降りて、『筑波山神社・筑波大学計算科学研究センター 共同気象観測所』(※)の脇の細い道を下っていきます。

写真で黄色い上着を着ている男性が向かっているのが、今回の目的に『常陸帯宮』がある道です。







※この筑波山神社・筑波大学計算科学研究センター 共同気象観測所は、1902年『山科宮筑波山観測所』→『中央気象台付属筑波山測候所』だった施設で、歴史ある施設。











看板にもあるように(途中無人化・閉鎖もありましたが)、実際は、『100年以上つづく気象観測』の施設なのですキラキラ









100mも歩いていないと思いますが、細い道の途中に、めざす常陸帯宮の小さな祠が見えてきました。









大きな岩の上に寄り添うように、可愛いお社が安置されています。

最近新調されたらしく、新しい感じの木製のお社でした。
『常陸帯神社』の表札(というのかな?)もちゃんとありますちょき

江戸時代の人も、ここで良縁を願ったのですねハート

『筑波山名跡誌』が書かれた江戸時代中期の頃は、このあたりはツツジがいっぱいだったのでしょうかキラキラ
訪れた時は秋だったので、よく分からなかったのですが、ツツジらしい木もありそうな雰囲気。

誓願つつじ満願つつじ』の子孫の木があると良いなぁ♪



ちなみに現代では、男体山本殿で引いたおみくじが、本殿そばのフェンスに作られたおみくじ結び用の綱に結び付けられていましたにこにこ


!【注意】 筑波山は 山頂付近を中心に 自然公園法に基づく『特別保護地区指定されています。 植物の採取や傷つける行為はもちろん、石ころ1つ落ちている葉一枚も持って帰れません
なので現代では、このようにおみくじは、木に結びつけるのでなく、
本殿近くのおみくじ用の綱に結び受けるのが、筑波山の神様の御神意に叶かなうと思います。
木に結び付けるのは、かえってバチが当たりそうです・・・。
(さらには、そのままでは『ゴミ』になりやすいので、おみくじを持って帰る方が、より御利益があるように感じます♪)


さて、後編は、『常陸帯宮』の由来になっている、『常陸帯』についてです。
ちょっとミステリアスな香りも。

続きますちょき
シリーズ『筑波山名跡誌に書かれた場所を訪ねて』 (1)常陸帯宮(後編)





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【参考文献】

1. 『筑波山名跡誌 安永期の貴重な地誌再現』 上生庵亮盛 著 桐原光明 解説 (ふるさと文庫) 筑波書林 












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