筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(4)―夏至ラインに筑波山頂日の入り 鹿島―筑波山ラインに乗る錚々たる神社・遺跡群!
(初出:つくば市民レポーターサイト 2011年12月21日 23時14分)


筑波山を中心とした「太陽の道」 (春分、秋分、冬至、夏至に、筑波山に日の出、日の入りが見られる、信仰の地、遺跡を繋いだライン)を、探訪する旅の4回目、
今回は、夏至の頃、筑波山に日に入りが見られるラインを探訪しました。

前回までの話は、

筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(1) 筑波山の真東ライン ― 夫婦神の山から望む日の出の地「子生」
筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(2) 筑波山の真西ライン ― ライン東端と西端に共通する聖地?
筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(3) 夏至に筑波山から日が昇るライン― 子授けの聖地ラインの予感?

をご参照下さい。

(※2011年10月30日に放送したラヂオつくば「つくば井戸端レポーター」の内容を再構築しています)


4.夏至の日に筑波山頂付近に太陽が沈むライン

 鹿島神宮と筑波山を結ぶラインとして有名なラインです(例えば文献1)。
 ちなみに、鹿島神宮を基点としたラインについては、東国三社や、大洗磯前(いそざき)・酒列(さかつら)磯前神社との関係等は、文献2 に大変詳しいので、そちらを是非ご覧になって下さい。

 さて、このライン上の神社、遺跡をお話します。

①鹿島神宮、沼尾社、坂戸社、鹿島神宮跡宮

 夏至の時、びしっと筑波山頂に日が沈むのが、Google earthでは、どうも鹿島神宮本殿あたりでなくて、もうちょっと北にある「坂戸社」と「沼尾社」という祠がある付近のようです。
 鹿島神宮でも、山頂ではありませんが、筑波山とその南の山塊の間に日が沈むようです。

 この「坂戸社」と「沼尾社」は、両方とも常陸国風土記で、「天の大神の社、坂戸社、沼尾社との三処を合わせて、香島の天の大神という」と記載されている古い社です(文献3)。沼尾社と鹿島神宮の中間地点に坂戸社があります。

 また、鹿島神宮の南東には、「鹿島の大神が初めて天から降りた」といわれる「跡宮(あとみや)」があり(文献3)、ここでもGoole Earthでは、夏至の頃、筑波山付近に日が入るのが見られるようです。

 ※私は鹿島神宮はもちろん何度か参拝したことありますが、沼尾社、坂戸社、跡宮はまだ訪ねたことがありません。近いうちにお参りに行きたいと思っています。

 このような鹿島神宮関連の場所と筑波山を結ぶラインに、非常に興味深い場所が何か所も乗ります。


 筑波山に近づいていきます。


② 大生(おおう)神社、大生(おおう)古墳群。

 北浦を横切って行方に上陸すると、ほぼライン上に、古社「大生神社」があります。

 Google Earthで見ると、鹿島神宮と同じく、夏至の頃、筑波山頂ではありませんがほぼ筑波山とその南の山塊の間に日が沈むようです。

 この神社は「元鹿島の宮」と伝えられていて、この大生神社の祭神が、鹿島神宮に移ったという伝承によるとのこと(文献4)。
 つまり、鹿島神宮の元はこの大生神社だという伝承です。

 またこの神社の周りは「大生古墳群」という大規模な古墳群があり、分布によって東部古墳群西部古墳群に分かれています。

東部古墳群には、前方後円墳2基、方墳1基、円墳約60基があり、西部古墳群には、前方後円墳5期、32基の円墳が確認されているとのこと(文献5)。
大生神社は大生東部古墳群の近くにあります。


大生神社近くの、前方後円墳。 確か「鹿見塚古墳」と記載されていたと記憶しています。
遠く鹿島の鹿を見た・・・という伝承が伝わっているそうです(文献4,文献6)

このように、畑の中や雑木林の中に、古墳が点在しています。





大生神社参拝道から神社を望む。

鬱蒼とした樹叢に囲まれていて、正に「神域」という雰囲気です。

数百年を経た老樹、高木が多く、高さ30mほどのクロマツは、古くは鹿島灘航路の目印になった」とのこと(文献6)。


 大生神社例大祭(毎年11/15)に奉納される巫女舞神事(茨城県指定文化財)は、大生集落の中から7歳から13歳の少女をくじ引きで選んで巫女舞を奉納するそうで(文献4)、古い様式がそのまま残されいるとのこと(文献7)です。

 この大生神社自体とても奥が深いので、調べるとはまりそうです 。


③富士見塚古墳群

さてさらに筑波山に近づいていきますと、ラインは霞ヶ浦を渡り、かすみがうら市旧出島村付近に上陸しますが、上陸してすぐの見晴らしのよい高台に、大きな「富士見塚古墳群」があります。

前方後円墳1基、円墳4基古墳群です(文献5)。
現在かすみがうら市の管理する公園となっていて、発掘された埋葬品が展示されている資料館もあります。

ここから西一帯に古墳が多く、旧霞ヶ浦町エリアだけでも312基確認されているとのこと(文献7、文献8)。 
 


全長80mの一号墳。前方後円墳。

資料館の管理人の方に伺いましたら、「古墳の上に上がると、筑波山は勿論、冬の晴れた日は富士山もちゃんと見えますよ。」とのこと。







一号墳から霞ヶ浦を望む。

 さて、ここはGoogle Earthだと、夏至は筑波山に日の入が見られ、冬至は、鹿島方面から日の出が見られ、富士山に日の入りが見られるようです。

 霞ヶ浦の水運が見られ、太陽の動きもよくわかる、素晴らしい場所です。


④胎安(たやす)神社、子安(こやす)神社

 かすみがうら市の鎌倉街道沿いのすぐ近くの2つの古社。どちらも源頼義・義家父子の伝説が伝わっています。

また、どちらも子授け子育ての神様として昔から信仰されています。
胎安神社は創建は763年、祭神はコノハナサクヤヒメと、香取神宮と同じフツヌシ命、子安神社は807年、コノハナサクヤヒメと鹿島神宮と同じタケミカズチ命。

このラインに、鹿島・香取神宮のミニチュアセットのような神社2つで、しかも子授け子育ての神として古来より信仰されているのは非常に興味深いです。

しかも、冬至の頃は鹿島方面から日の出、夏至の頃は筑波山に日の入。


胎安神社の門から拝殿を望む。

胎安神社は天平宝字6年(763年)の創建と伝えられていて、天喜2年(1055年)には、源頼義・義家父子が奥州征討の際、都にいる御内室の安産祈願をしたとのこと(文献9)。






ご神木の「子持ち松」
明治時代に枯れてしまったそうですが、根元はまだ残っており、石を抱いている姿が、子供を抱いた姿に見えます。霊験にあやかるためにお参りする方が多いそうです(文献9)。

こちらの神社でお参りをしていたら、社務所にいらした女性の宮司さんからお茶を頂きました。
安産・子育ての神社が篤いのも頷ける、とても優しい雰囲気の神社です
 

 

さて、胎安神社の近く、鎌倉街道を挟んですぐそばにある「子安神社」にもお参りに行きました。




街道沿い、すぐ近くにある「子安神社」。

大同2年(807年)、鹿島大神と富士浅間大神の分霊を祀ったことに始まり、中世、源頼義・義家父子が朝敵降伏、国家安泰を祈願したとのこと(文献10)です。






江戸時代、安産・子育て祈願の「十九夜信仰」と混淆していったようです。(文献10)
 
苔むした境内がいい感じです。


このラインを調べると、古代、この地を支配した支配層の変遷も見えてくるようで、古代史研究としても大変興味深い場所が繋がっていると感じています。

★今回の場所の地図は↓
http://g.co/maps/h68nk

さて、次回はいよいよ最後、冬至ラインに迫ります。

筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(5) 冬至に筑波山から日が昇るライン ― 古墳・遺跡と、古代太陽祭祀の香り?


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参考文献

1. 「鹿島神宮と筑波山の方位関係について―「常陸国風土記」を手がかりとして―」 木本雅康 日本民俗学第203号 日本民俗学会

2. 「レイラインハンター 日本の地霊を探訪する」 内田一成 著 アールズ出版

3. 「鹿島ものしりハンドブック」 鹿嶋市・鹿嶋市教育委員会・鹿嶋ものしりハンドブック編集委員会 

4. 「日本の神々 神社と聖地 11 関東」 谷川健一編

5. 「茨城の考古学散歩」 茨城県考古学協会

6. 「茨城の史跡と天然記念物」 山崎睦男・高根信和著 茨城新聞社

7. 「茨城県の歴史散歩」 茨城県地域史研究会編 山川出版社

8. 「霞ヶ浦町の歴史散歩」 霞ヶ浦町郷土資料館

9. 「胎安神社 参拝のしおり」

10. 「平成21年度企画展 かすみがうら市 東野寺鎮座 子安神社―安産・子育ての名社と女人信仰―」 かすみがうら市郷土資料館


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