筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(2) 筑波山の真西ライン ― ライン東端と西端に共通する聖地?
(初出:つくば市民レポーターサイト2011年11月23日 15時02分) 



筑波山を中心とした「太陽の道」 (春分、秋分、冬至、夏至に、筑波山に日の出、日の入りが見られる、信仰の地、遺跡を繋いだライン)を、探訪する旅の2回目、
今回は、筑波山の(ほぼ)真西ラインを探訪しました。

★前回までの話は、「筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(1) 筑波山の真東ライン」を参照下さい。

 (※10/30に放送したラヂオつくば「つくば井戸端レポーター」の内容を再構築しています)


2.筑波山の真西ライン


① 一宮貫前(ぬきさき)神社(群馬県富岡市)

 まず、まっすぐ西に行くと、群馬県に入り山にぶつかりますが、この山にぶつかる当たりにあるのが、群馬県富岡市にある「一宮貫前(ぬきさき)神社」です。なんと、上野国(こうずけの国)一ノ宮です。


 ここから筑波山が見えるのか、地元の方、教えて頂きたいのですが、大昔、空気が澄んでいた頃は、見えたのではないかと期待しています。


 さてここは残念ながら、まだ行けていないのです。
 しかし、ここも大変珍しい構造の神社とのことで、参道から石段を下って降りた所に社殿があるとのことです。


 文献1によりますと、明治維新前は「貫鉾(ぬきほこ)神社」と呼ばれていたそうです。祭神はフツヌシ命とされていますが、他に女神一柱も祀られているそうです。

 同書によると、本来は水の神、織物の神、財の神として、渡来人によって女神が祀られていたところに、物部氏族が入ってきて、その神様である男神のフツヌシ命が、あわさったものと考えられるとのことです。


 さらに、拝殿背後に神水を汲む泉が湧いていて、女神を祀るので月一回は水が濁ると言われているそうで、この泉の付近では6世紀代のものと見られる土器片も出土していて、古代祭祀に関わる場所と考えられるそうです。


 …ここまで、きて、あれ?と思うのは、筑波山真東ライン突き当たりの、子生弁天様との共通点です。

 ● 非常に珍しい「参道から下に降りた所に拝殿」がある形
 ● 祀られているのは女神様
 ● 水も湧いている
 …

 偶然か、実は何か共通の信仰があるのか、大変興味深いです。
 是非訪ねてみたい場所です。

 
筑波山古墳(群馬県邑楽郡板倉町)

さて、この筑波山の真西ライン上に添って、筑波山に近づいていきますと、他にも興味深い場所が乗ってきます。

まずは、その名も「筑波山古墳」!
場所は茨城ではありません。群馬県の板倉町にあります。


群馬県ですが渡良瀬貯水池に近く、筑波山がよく見える場所です。昨年の9月頃、車でドライブ中、偶然発見して行ってきました。

水田地帯と住宅地の混ざった場所にこんもりとありました。







板倉市教育委員会の看板がありました。

それによると、全長53.5mの前方後円墳で、、銀象嵌円頭太刀、直刀、鉄鏃や、金銅製耳環、瑪瑙製勾玉、水晶製切子玉、馬具などが出土。6世紀後半の築造と推定されるそうです。
板倉町指定史跡、重要文化財に指定されています。

 筑波山から離れているのに「筑波山古墳」。
 古墳そのものもそうですが、この名前がついた由来に、何か筑波山信仰と関係がありそうな気がします。

 ここでも春分・秋分の頃、筑波山頂あたりから日の出が見られるはずです。地元でご存知の方、教えて頂けると嬉しいです。


 ②’ 雷電神社(群馬県邑楽郡板倉町) 
 

筑波山古墳の近くには雷の神様で電気工事関係者の信仰も厚い「雷電神社」があり、ここも、ほぼラインに乗ります。群馬に多い「雷電神社」の総本山です。

社殿は大変彫刻が綺麗で見ものでした。群馬県指定重要文化財です。

由来はパンフレット(文献2)によると、598年この地に来た聖徳太子(!)が、沼の小島に祠を設けて天の神を祀ったのが起源とのこと。




本殿は「火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)・大雷大神(おおいかづちのおおかみ)・別雷大神(わけいかづちのおおかみ)、菅原道真(すがわらのみちざね)公」…と雷関連の神様をお祭りしていますが、本社真後ろの奥宮には、安産、子授け子育ての神様として伊邪那美大神(いいざなみおおかみ)をお祀りしているとのこと。

境内にある雷電沼には龍がすむと伝えられるそうですが、偶然にも、弁天様も祀られていました。

 おまけですが、ここの参道でナマズ料理が食べられます。ナマズの天ぷら、美味しかったです 。


③ 関城跡(茨城県筑西市)

 筑波山真西ラインに乗って茨城に入りますと、旧関城町、現在の筑西市関館(せきだて)にある、中世の城跡、関城跡があります。 鎌倉時代から南北朝時代までこの辺りを支配した関氏の居城跡で、 国指定史跡です。




関城跡は、集落の所々に土塁跡、坑道跡、城主 関宗祐、宗政親子の墓があるのみで、公園のような形ではっきり「ここ」とあるわけではありません。

民家が点在して、私有地内の場所も多いようで、全容は正直よく判りません。

さて、駐車場に車を停めて、少し周りを歩いてみました。
坑道跡に向かう農道から、東にそびえる筑波山がよく見えます。



南北朝時代に、城攻めのために掘られたという(伝)坑道の跡(文献3、4)。
そばに石碑や説明の看板がないと、農業用水の口にも見えてしまいます。

私が見ても地盤がゆるそうなこの土地に、坑道はやっぱり無理があったような(^^;)。

ここは丁度、昔は大宝沼にかこまれた場所で、水上交通が重要だった頃は、交通の要所だったと想像されます。それ故、関氏の居城となったのでしょうが、それに加えて、この土地自身、古来からの筑波山の日の出が拝める聖地だったのではないかなと思ったりします。


③’ 梶内観音(福蔵院) (茨城県筑西市)

この関城跡の近くには「梶内観音」というお寺があります。ほんの少し真西ラインから外れますが、Google Earthで見てみると春分秋分の頃筑波山付近から太陽が昇るようです。

 

このお寺さんの看板のご由緒を拝見すると
貞観元年慈覚大師の御草創を仰ぎ奉り安産の御霊験著しく如何なる難産のものにても一心にこの観音菩薩を念ずれば安産決定すること疑いなきものなり
とのこと。
やはり、安産の信仰の地です。
 





実際行って見ましたら、拝殿の向こう側に丁度筑波山を望む形で、お参りすると、観音様と、観音様の背後の筑波山を同時に拝む形になるのが印象的でした。

個人的には、古来から筑波山と太陽信仰(子孫繁栄、五穀豊穣)のあった地に、仏教が入ってきたのかなぁなんて感じました。
 (住職さんがいらしてたんですが、工事中でお忙しい感じだったのもあり、聞き損ねました。思い切って聞けば良かったです。後悔。) 


今回ご紹介した場所の地図↓
http://maps.google.co.jp/maps/ms?msid=209191285463633823766.0004b24fcfd6d06236754&msa=0&ll=36.233197,139.798279&spn=1.355836,2.076416


 次回は、夏至の時に筑波山からの日の出、筑波山への日の入りが見られる「夏至ライン」を訪ねてみます。

筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(3) 夏至に筑波山から日が昇るライン― 子授けの聖地ラインの予感


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参考文献

1. 「日本の神々 神社と聖地11 関東」 谷川健一 編 白水社
2. 上州総本宮 雷電神社 パンフレット
3. 「図説茨城の城郭」 茨城城郭研究会 国書刊行会
4. 茨城県の歴史散歩 茨城県地域史研究会編 山川出版社




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