筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(1) 筑波山の真東ライン ― 夫婦神の山から望む日の出の地「子生」(初出:つくば市民レポーターサイト 2011年11月14日 21時17分)


★2011年10月30日(日)、ラヂオつくば「つくば井戸端レポーター」の放送内容
「古代ロマン 筑波山を望む「太陽の道」に迫る 
― 筑波山の真東真西&夏至冬至の日の出/日の入ライン上の遺跡・信仰―」
の内容について、何回かに分けてご紹介していきます。



 私は出身は三浦半島で丘陵地帯で育ちました。そこから、このつくばに移り住んできて、人生の半分以上をつくばで生活してきました。


 茨城県南西地域は、ご存知のとおり、「関東平野!」を実感できる場所ですが、そんな広々とした中で、関東平野の端に聳え立つ筑波山は、自分の位置を知る目印になるなぁと気になっていました。


 また、この広い関東平野、晴天の場合、日の出、日の入りをほとんど遮るもの無しに見ることが出来で、太陽の動き もこの現代でも実感できる貴重さを感じます。

 古代、この土地に息づいていた人々もまた同じく、筑波山を近くに遠くに見ながら生活していたわけで、今以上に太陽、月、星の動きと、季節、種まき・収穫などの生活リズム、移動の際の目印にしていただろうことは、想像に難くありません。

 そんな古代の人々から受継ぐものを求めて、古代ロマンを感じながら、現代の恵みも感じようと、今回、
「古代ロマン 筑波山を望む「太陽の道」に迫る ― 筑波山の真東真西&夏至冬至の日の出/日の入ライン上の遺跡・信仰―」
 と題して、お話したいと思います。


 ※なお、各地点で、日の出、日の入りが筑波山頂(付近)にすることについては、実際に肉眼で確認は出来ていないのですが、Google Earthで確認しています。ほぼ間違いないかと考えていますが、お近くにお住まいの方、実際そうなのか教えて頂けると嬉しいです。



--------------はじめに-------------

(1) 「太陽の道」とは?

 
古代の太陽祭祀の痕跡とも考えられる、日本国内はもとより、史跡・遺跡は、世界各地で見られるそうです。
 日本でも太陽祭祀と方位観について研究されています(文献1) 。


 また、古今東西、征服者や新しく入植した一族が、もともとあった先住民の聖地に、自分達の神や神殿を立てることが行われていたようで、現在はキリスト教なり、後世の寺院であっても、実はその前の民族や宗教の祭祀跡というのも、多くあるそうです
(文献2)。


 ただし、どこかに、その昔の信仰の痕跡が残っていることもあるようで、そのような痕跡(遺跡、信仰の史跡)が規則をもって並ぶ地上の線を、 「レイライン」と呼ぶそうです。

 
  なお、「レイライン」につきましては、以下の本が大変参考になります。
  「レイラインハンター 日本の地霊を探訪する」 内田一成 著 アールズ出版

  ↑ 地図上(丸い地球の面を平面で見るのは誤差が大きい)でなされている議論とは 違 い、実際に現地へ行かれて、土地の雰囲気を感じながら、GPSを使って測定されています。ご興味ある方は是非! 茨城のレイラインも詳しいです



(2) 神社の祭神等は、後世変えられている可能性

  日本においても、神社のご祭神も、現在祭られているのが、大昔からそうかというと違うと思います。


 名もない神様を祭っていたり、石や木などの自然物を信仰していた所に、後から来た強い一族が、自分の祖先やら信ずる神やらのための祠をそこに建てることは、征服のあかしから始まり、宗教政策の一環としても、当然のようになされていたでしょう。
 また、従来の神と一緒に祀りながら、いつのまにかすり替わってしまったこともあるでしょうし、神社の由来も、書き換えられていることも、十分考えられます。


 事実、明治政府の廃仏毀釈政策は言うに及ばす、水戸光圀が、県北部の五山の由緒を書き換えようとした話もあります(文献3)。
 ですから、大昔はもっと行われていたことは想像に難くありません。



-----------筑波山の東方(真東)ライン-----------


1.筑波山の真東ライン


 筑波山は二つ峰がある山で、筑波男神、筑波女神が古来から祭られています。 二つ仲良く並んでいるので、縁結びの神様として古くから信仰されています。

 そんな筑波山の真東、太陽が昇る方向を見てみます。
 (春分秋分に筑波山を背に、真東から登る太陽を見て、筑波山に沈む太陽が見られる場所)


① 鉾田市 子生 厳島神社(子生の弁天様)


真東、太平洋を望む場所に、その名も「子が生まれる」と書いて「子生(こなじ)」という地名の場所があります。旧旭村、現在の鉾田市にあります。


 ここは、「子生の弁天様」として古来から信仰されている「厳島神社」があります。


 ※ 「子生」という地名の由来については、子生に近い場所に在住の、ラヂオつくばでも番組を持たれているヨネコさんが調べて下さって、「子授けの霊験あらたかな弁天様から、子生(こなじ)…と云われるようになった」とのことです。
 また、(文献4)でも同様の記載があります。




鳥居の向こうは下り階段。下に社殿があります。

この弁天様の場所がまた、珍しくて、森の中にある広い窪地に、県の重要文化財に指定されている、立派な本殿があります。森の中の参道を歩いて鳥居をくぐって、階段で下に降りて行く形でお社に向かいきます。


5月の頃行って見ましたが、窪地上空には樹木がなくて明るくて、静かで大変気持ちが良い場所です。

社伝では1265年に安芸の国の厳島神社から分霊したとのことですが、地元の古文書に既に1078年には弁財天が祀られていたとあるそうです(文献5)。また、「創立年代は不詳だが、古説によれば、この神社はこと造谷(つくりや)にあったが、当時の有志が風致のよい現在地に移したと云われる。」とのこと(文献4)。



池の傍にたたずむ、みごとな彫刻のある拝殿。


私の憶測なのですが、この窪地は水をたたえていますし、もともと昔から聖地として信仰されていたのではないかと。
さらにこの付近では、春分・秋分の頃は海から昇った日が、夫婦神の筑波山頂付近に日の入りするというのも、大事な意味がありそう。

そういう大変雰囲気が良いので、そこに厳島神社を持ってきて、祭神の市杵島姫命[いちきしまひめのみこと]という女神様を祀ったんじゃないかなぁと思うんです。


神話でも、水辺で太陽の日の光を受けて子どもを宿す話がありますから、太陽が昇ってくる東は、やはり生命が生まれるという信仰と結びつく気がしています。


 尚、先にさせて頂いた書籍の著者の内田様より、

「子生といえば、馬琴の『兎園小説』に出てくる虚ろ船が漂着したとされる「はらやどり浜」ではないかと推測しています。弁天から東に少し行くと子生海岸です」
 との情報をTwitterで頂きました。「はらやどり浜」という名前が大変興味深いです。
 ありがとうございました。


②鉾田市 主石神社


 この筑波山の真東ラインには、これからご紹介する主石神社の近くにある、小美玉市の貴船神社の方がラインに乗っていまして、主石神社はラインより少し南にずれます。
 しかし、常陸国二十八座として昔から信仰され、ご神体も大変興味深い、「主石神社」に注目しました。


ここのご神体はなんと成長する石と言われています。


その昔、村人が土の中から石を拾ったところ、それがどんどん成長して止まらないので、霊石としてその上に社を建てて祀ったそうです(文献4、文献6)。

創建年代は不明とのことですが、式内社であり非常に古くから信仰されています。

で、ここも行ってみました。




道路から階段を上った所の奥に拝殿と本殿があります。  


社殿の中の石は外からは全く見られませんが、高台の中腹にあって、社殿脇の高台に登ると、筑波山が見えそうかなと思いました。


 この日は曇っていて確認出来なかったのが残念です。地元の方、是非教えて下さい。



子安観音様のお姿は、どれも優しい。

この「成長する石」というのが、子授かり子育ての信仰を呼ぶのは当然のようで、この主石神社の入り口付近に、4つほど、子安観音と呼ばれるタイプの石造物がありました。


 どれも赤ちゃんを抱いて膝を立てて座ってお乳をあげているお姿の像です。


 ※なお、小美玉の貴船神社も、近いうちに是非訪ねたいと思っています。



③石岡市 柿岡の富士山


 あの富士山のほかに、日本全国には「富士山」と呼ばれる山が多くあるようです。
 石岡市(旧 八郷町)の柿岡の富士山もそういう山々の一つで、150mちょっとの標高の可愛いお山です(文献7)。


 この富士山が、偶然ですが(地形ですから)、ほぼ、筑波山の真東に近いところに位置します。

 で、山頂に祭祀跡があったと何かで読んだ記憶があります(何で読んだか記憶が定かでないのですが)。
 ちょうど春分、秋分の頃、筑波山頂付近に日が沈むのが拝める山は、古代でも特別な山であったのでは・・・と思います。




★今回紹介した地点の地図:
http://maps.google.co.jp/maps/ms?msid=209191285463633823766.0004b1990c7c78dbf560f&msa=0&ll=36.002452,140.215759&spn=1.362029,2.076416


次回は

筑波山を中心とした「太陽の道」を探る(2) 筑波山の真西ライン ― ライン東端と西端に共通する聖地?

です。



-----------参考文献--------------


1. 例えば「東アジアの古代文化 24号 特集 日本古代の太陽祭祀と方位観」 大和書房 など
2. 「レイライン ハンター 日本の地霊を探訪する」 内田一成 著 アールズ出版
3. 「寺社の縁起と伝説」 志田諄一 著 崙書房
4. 「茨城県大百科事典」 茨城新聞社
5. 「日本歴史地名体系」 平凡社
6. 「常陸の伝説」 藤田 稔 編著 第一法規
7. 常陽 藝文 「特集 茨城の富士山」 2007年6月号 常陽藝文センター





掲載当時に頂いた コメント

民俗学の大好きな拙にとっては興味津々でございます。是非、MAPシステムも駆使していただいて、ポイントを地図上で確認できるようにしませう。
by RICMANIA at 11月18日 13時55分


RICMANIAさま
 コメントありがとうございます。どうもこのつくば市民レポーターサイトのMAPシステムが一箇所しかマークが置けないみたいなんで、google map上の各地点をマークしたものを、「★今回紹介した地点の地図」として、参考文献の前にリンクしてあります。それをご参考にして頂けば幸いです(^^)。
 岩手の昔話、民俗学的お話も楽しみにしております!
by かるだもん at 11月25日 19時11分




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徒然なるままに、興味のあることを気ままに書いています。好きなことばは「中途半端も、たくさん集まればいっぱい!」(ドラマのセリフ)

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