【茨城&つくば プチ民俗学】 筑波山伝説ミステリー!? ―見えてくる歴史あんなこと、こんなこと― (1)
※2013年6月16日(日)に、FM84.2MHz ラヂオつくば「つくば井戸端レポーター」で放送したものを、再構築して掲載しています。


 筑波山に関係する昔話・伝説は、いろいろありますが、今回は、歴史的な何かが見えてくるお話で、意外と知られていない伝説から、ミステリー3つをお話したいと思います。
 夏休み、お子さんと筑波山に行かれる時など、ご活用下さい(^o^)ちょき


ミステリー1: 向きを変えた筑波山!?


まずは、クイズですキラキラ<strong></strong>

【クイズ1】
筑波山ふもとのとある地域では、江戸時代になる前と、なった後では、筑波山は向きを変えたという昔話が伝わっているそうです。
江戸時代、徳川幕府になる前は、筑波山はどっちを向いていたのでしょうか(あくまでも伝説)。



筑波山の周りの古道

 上のクイズに出てくる昔話の詳細は以下です。

昔、筑波山の男体山と女体山は羽鳥の方を向いていた。それが徳川様になってから、向こう向きへ向きを変えたという
 (文献1)

 筑波山は見る方向から形がかなり違って見えるのは、ご存じのとおりです。

 「筑波山の向き」…つまり、筑波山の正面はどこか?
 これは住んでいる地域によって違いますよね。つまり、自分の住んでいる土地から見た筑波山が「正面!」なわけです。


つくば市神郡付近から見た筑波山








桜川市(旧 真壁町) 真壁城址付近から見た筑波山









桜川市(旧 真壁町) 長者沼から見た筑波山












 上の伝説は真壁で伝わっているお話 とのこと。

 つまり、真壁の方を向いていた筑波山は、徳川様の世=江戸時代になり、あっちを向いてしまった!

・・・というわけです。

 山が本当に向きを変えるわけはありませんから、これは筑波山の『表玄関』が実質変わってしまったことを意味していると考えられます。


 筑波山の表玄関はどこだったのか?


 大昔から、筑波山は信仰の山でした。
ですから参詣のため、修行のための道がいくつかあったそうです。その多くが筑波山北部、真壁からの登山道でした。
また筑波山だけでなく、地理的に加波山、足尾山への参詣の拠点でもありました。
 






筑波山北部は、羽鳥道(はとりどう)に代表される筑波山参詣の道の他、加波山参詣の道の他、「小栗道」と呼ばれる、筑波山の北側を山越えして、石岡方面(昔の国府)に行く道がありました。

写真は、羽鳥道入り口近くの『天神塚
常総市の大生郷天満宮はここから移転したという伝承(※)があるそうです。
 ※大生郷天満宮にその旨が書かれた石碑があったと記憶しています。


小栗道は鎌倉街道の幹線(中つ道、下つ道)をつなぐ道でもあります。またすぐ近くを桜川が流れており、霞ヶ浦方面からの河川交通も当然あったでしょう。

また、平将門の頃には戦場になっています。

 つまり聖地・筑波山へ行くためのベースキャンプとしても、交通・輸送の要所としても、筑波山の北側、真壁地域は古来から重要な場所でした。
 これらを傍証するように、長者が住んでいたという伝承(上記写真の長者沼など)や遺跡(文献3)も多く、近年の調査でその姿が次第に明らかになりつつあるそうです(文献2)。


そういったわけで長い間、筑波山の表玄関は、真壁側だったわけです。


 さて時代は下り、江戸時代になりました。

 すると、江戸の鬼門を守る聖地として筑波山が注目され始めました。
 筑波山中には多くの社・寺院があったそうですが、特に中禅寺知足院が、徳川家の篤い信仰を受けるようになりました(文献4)。

 家光は、建築物資を運ぶ道として、新しく「つくば道」を作りました。すると当然人の流れと物流が多くなり、 新道「つくば道」の周りが栄えてきました。

 徳川様に習えで、参勤交代のついでに筑波山参りをする大名も出てきたでしょう。

 更に江戸中期になると庶民の神社仏閣詣でが盛んになります。
 このようにして、知足院がある筑波山南側が、宿場町・門前町として栄えるようになりました(文献4)。

 江戸時代になり、筑波山の北側よりも、南側が興隆してきたわけです。
 しかも筑波山南面は、首都「お江戸」方向を向いている。

 徳川の世になり、筑波山の表玄関は、知足院のある側(今の筑波山神社側)になってしまった・・・(ToT)。

 それで、真壁のあたりでは、
昔、筑波山の男体山と女体山は羽鳥の方を向いていた。それが徳川様になってから、向こう向きへ向きを変えた汗という
という言われるようになったのでしょう。

 400年以上前の真壁地域の『悔しさ』が、今に伝わってくるお話ですねしーっ

 
 しかしそれでも真壁地区は城下町として、また物流の拠点として重要な場所だったことは変わりありませんでした。
 江戸時代が終わり、明治・大正・・・と時が経ても栄えた証拠が、歴史的町並みとして今に続いているわけです。

 現在も残る古い街並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区(※)に、茨城県下で唯一選定されています。
 ※詳細:文化庁HP http://www.bunka.go.jp/bunkazai/shoukai/juudenken_ichiran.html
   関東地区では、埼玉県の川越、千葉県の佐原など6か所しか選定されていません(H24年12月28日現在)びっくり

 有名な2月の「真壁のひな祭り」以外の時期でも、懐かしい雰囲気の街並みを見ながら食べ歩きなど、お勧めです笑





真壁のひなまつり とあるお店で飾られていたお雛様 いろいろな時代のお雛様があります。





ひな祭りは、街中でおもてなしの雰囲気が楽しい。
『床屋のご主人がなぜか手作り飴を売る・・・』の手書きにつられて、飴も買っちゃっいました笑





昔ながらのお肉屋さん。地元の人が何人も注文中。テレビの取材も来たことあるようです。







真壁伝承館歴史資料館前で、コロッケを買っています。揚げたてアツアツ♪ホクホク♪






 



また史跡も多い所でもありますので、森林浴を兼ねながら、筑波山ろくの古い道をたどるのも楽しいですよね。


さて、第二のミステリーは次回。お楽しみに!
筑波山伝説ミステリー!? 見えてくる歴史(2)


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参考文献
1. 「真壁町の民俗」茨城民俗学会、真壁町史編さん委員会
2.  「第三回企画展 歴史の道 鎌倉街道と小栗道」 真壁伝承館歴史資料館
3. 「真壁町の昔ばなし」 仲田安夫 著  筑波書林
4. 「特別展 筑波山―神と仏の御座す山―」 茨城県立図書館

参考HP
桜川市HP 真壁の町並み http://www.city.sakuragawa.lg.jp/index.php?code=455

散歩の共に笑
 「懐かしの街さんぽ 茨城」(幹書房)
  茨城県の歴史散歩  茨城県地域史研究会 編  山川出版社




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この記事へのコメント
かるだもんさん
こんばんは。
大変おもしろ~い。すばらし~い。

地元の私より詳しい。。といってもずっとすんでいたわけではありません。

見る角度を変えて眺めると、新たな発見があって、感動です。
かるだもんさんの話の進めかたも、いいですよね。

クイズを入れるところ・・・を見ると、いよいよ筑波山検定挑戦かな(笑)
そういえば、検定の解説づくりをすっかり忘れてます(笑)
筑波峰自由研究倶楽部で、皆で解説本を作りますか?

売れるかも(笑)

次回の8月10日の筑波山講習の日、仕事とぶつかりそうで。。。
もしかしら、欠席?
まだ、確定では、ありませんが。
調整中です。
Posted by 清水です。 at 2013年07月17日 23:01
清水様
ありがとうございます。このお話を本で読んだときは「おお!」と思いました(^o^)。
また、偶然興味深い博物館・資料館の企画展もあり、とても面白く感じています。
私の知識は大変偏りがあるので(笑)、講習会で欠けているところの穴埋め勉強させて頂いてます。
今後ともよろしくお願い申し上げます!
Posted by かるだもんかるだもん at 2013年07月18日 22:30
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徒然なるままに、興味のあることを気ままに書いています。好きなことばは「中途半端も、たくさん集まればいっぱい!」(ドラマのセリフ)

地元つくばや茨城の話題を中心に、茨城の食材を使った家庭料理、民俗学もどき、国際交流、旅の話題など、趣味の記事を掲載中。

特に自分の勉強も兼ねて、
★民話・伝説紹介と、それにちなむ土地めぐり
★茨城を中心に、全国の郷土料理と食材(世界の料理も含む)の話題
の話題が多いです。

・ヒッポファミリークラブ(多言語自然習得活動と国際交流)
・観光ボランティア
・郷土食研究会うまかっぺ!茨城



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