茨城県内の巨石を訪ねて・・・ 知る人ぞ知る巨石を4つご紹介(前編) <9/4「井戸端レポーター」放送内容>

(初出:2011年9月05日 22時14分)


※ラヂオつくば「つくば井戸端レポーター」(毎週日曜18:00-18:30) 9/4(日)放送内容のメインテーマ前編です。


本日の話題は、茨城県内の巨石を訪ねて ・・・ということで、知る人ぞ知る巨石を4つほどご紹介します。


巨石・・・というのは、巨大な石ということで、岩座(いわくら)とも言いますが、その大きさや形の不思議さから、古来から信仰の対象になっていたり、昔話が語られていたりします。
つくばでは、筑波山頂の巨石群、「弁慶の七戻り」とか「立身石」とかが有名ですね。


さて、今回の放送では

・日立と高萩の境にある「太刀割(たちわれ)石」
・日立市内にある「宿魂石」
・桜川市旧岩瀬町の「ダイダラボウの背負い石」
・つくば市 筑波山ろくの「月水(がっすい)石」

をご紹介しました。



(1) 太刀割石(たちわれいし)

・場所:

 日立と高萩の境のあたりに位置する竪破山(たつわれさん)の山頂付近にある。竪破山は標高658m。竪破山には他にも、筑波山と同じくいろいろな大きな石や滝りますが、特にこの太刀割石は有名です。
 県北の人にはよく知られた石だと思いますが、県南、県西の人にはご存じない方が多いのではないでしょうか。






木のつっかえ棒が何故かたくさん(^^;)。
「つっかえ棒は意味がないので置かないで下さい」旨の看板があったと記憶。
 山頂付近とはいえ、やや傾いた土地に真ん丸石があるため、心理的に棒で支えようと思う人が多いらしいです

 石の大きさは、人と比べて大きさが分かるかと思います。







真横からみたところ。

・特徴:
直径7メートルくらいの丸い巨石が、横からまっすぐ真っ二つに割れている。下半分は面を上に、上半分は横に落ちて、面を垂直にしている。
※やまの頂上に、巨大なまんまるい石があり、しかもそれが真っ二つにまっすぐに割れているのがすごい。なので、伝説も生まれている。
近くには、常陸風土記に出てくる黒坂命(くろさかのみこと)を祀る黒前(くろさき)神社があります。





・太刀割石伝説:[文献1,2,4]

八幡太郎義家(源義家)が奥州遠征の途中、当時黒前山と呼ばれていた竪破山に登り戦勝を一晩祈った。すると夢の中に神様が現れて刀を一振り授けた。
 その刀で近くの巨石を切りつけると見事に真っ二つに割れた。従ってきた将兵達もこれは神様が味方したと勇んで遠征に向かった。
 以来この石は太刀割(たちわり・たちわれ)石と名づけられた。山の名前もちょっとなまって「なつわれ山」となった。


②水戸光圀が、本来の由来を書き換えて、上述の伝説にした疑惑ありという学者もいる。また「太刀割石」は光圀が名づけたという説もある。


  
・なぜこんな形の岩が?: [文献1]

 このあたりの石は花崗岩質。この太刀割石も花崗岩。花崗岩の特徴として、「たまねぎ状風化」といって、外側からうすくまるく、はがれて風化して、結果的に丸い大きな石が出来やすいそう(産総研 地質調査の研究者から聞く)。
 また、スパッと刀で切ったような断面も、「節理」といって岩石の結晶の方向のそって、割れやすいため。


・行き方
 ※水戸市内から、国道394号車で北上し、常陸太田、旧里美村に向かいます。途中県道60号もしくは、その先の花貫渓谷に向かう林道で竪破山方面に向かいます。
 山の中腹まで車で行ける。ちょっとした駐車スペースがあり、そこから散策路を歩いて頂上まで行けます。


・エピソード: 
2005年5月3日に行きました。その日、山頂近くの黒前(くろさき)神社で、氏子さん数人でお祭りをしていました。
 「お祝いだから、お酒飲んでいって」といわれ、ドライバーでない私が飲みました。「これはここいらへんの地酒だよ」とすすめられた日本酒が、『大観』。美味しかったですハート
 「お赤飯も食てく?」と言われたんですが、そこまで頂いたらずうずぅしいかなぁと思い遠慮したが、やっぱり頂いたほうが良かったのかなと。

 景色も良くて、本当にいい場所。おすすめですちょき



(2) 宿魂石(しゅっこんせき)


これも、県北の人にはよく知られていると思いますが、意外と県南、県西の人にはあまり知られていないようです。
 2007年12月に行きました。


この岩山全体が「宿魂石」。
登っていけます。
12月ですが常緑樹の木々に覆われ緑が濃いですね


・場所:
 日立市大みか。国道6号沿いの高台にあります。道路の向かい側は、日立製作所の研究所の敷地。大甕神社の境内に石はあります。
 先に紹介した太刀割石は、一つの大きな岩石でしたが、宿魂石は、一つの巨石というより、ごつごつとした岩山です。



頂上に本殿。
宿魂石がご神体ではなく、本殿の神様は天津甕星神を成敗した建葉槌命。

・伝説: [文献3,4]
 日本の神話では、大昔、天から地上の葦原中国(あしはらのなかつくに)平定のために遣わされた、経津主(ふつぬし)神武甕槌(たけみかづち)神が、草木や石までも平定したが、最後まで抵抗したのが、この地にいた天津甕星(あまつみかぼし)神、別名、香々背男(かがせお)
 これが二人の神様を退けて、今度は高天原に逆襲すべく巨石になって、どんどん大きくなっていった そうです。

 それを倭文(しず)の里(旧瓜連町 現在の那珂市瓜連)の織物の神様、建葉槌(たけはつち)命という神が金の沓で蹴りあげると、四方に石が飛び散った…という伝説。

 その飛び散った先が、一つは海に落ち、日立沖にある「おんね岩」になった。
 また他の3つは、東海村石上外宿の久慈川にかかる国道六号榊橋袂にある「石神社」、城里町石塚にある「風隼(かぜはや)神社」、笠間市石井の「石井神社」に祀られているそうです。
 また加えて、水戸市で、旧 内原町田島の「手子后(てごさき)神社」にも飛び散った石の一つが落ちてきたのを祀っているそうです。

・実は、先に紹介した伝説は、水戸光圀が書き直したものと見る研究者もいます。[文献3,5]
 その説によると、もともとはこの石は「魔王石」と呼ばれていてこの一帯は中世の頃から修験道の修行地だった。「魔王」というのは仏教用語だそう。
 江戸に入り、それまでの領主だった佐竹氏に代わり、水戸徳川氏が入ってて、佐竹色を一掃するための政策をした。その一つが佐竹氏と縁の深い修験道の一掃や廃仏思想の徹底。

 さらに水戸光圀は、県北中心に旧水戸藩の領地の神社仏閣史跡について、水戸光圀が、由緒書を書き直したり、祭神を変えたり、掘って調べたり、名前をつけ直したり…等したとのこと。 

 ちなみに、 「常陸国風土記」は延宝五年(1677年)二月、光圀の命で加賀前田藩に伝わる本を、彰考館で写してから、世の中に知られるようなった[文献5] とのこと。← そうだったんだ!びっくり

大甕神社の祭神は、天津甕星神(別名 香々背男)を成敗した建葉槌命宿魂石になった天津甕星を押さえつける形になっています。


後編に続きます)
茨城県内の巨石を訪ねて・・・ 知る人ぞ知る巨石を4つご紹介(後編)

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参考文献:
1. 常陽藝文 1988年10月号 「奇岩と伝説の山」
2 常陽藝文 1997年11月号 「八幡太郎義家伝説を追う」
3. 常陽藝文 2004年5月号 「荒ぶる紙、石と化す」
4. 藤田稔 編著 「常陸の伝説」
5. 志田諄一 著 「寺社の縁起と伝説」 崙書房ふるさと文庫



掲載当時頂いた コメント

初めまして。竪割山のニュースというこで、知りました。

太刀割石について、以前調査したことがあって、拙文をこちらに出してあります。
http://chibataki.moo.jp/sonotanokai/070519takioyazi/tatiwariyamakiroku.html
 ご参考になれば、幸甚でございます。

 石がすぱっと割れる、木の根開口作用は、風化作用としては、凄くありふれた目立つ作用なんだけど、意外に取り上げられてない現象だと思います。私の造語です・・・(^^;) 

 by 滝おやじ URL at 9月7日 2時04分


 
 滝おやじさま、コメントと詳細はご報告のご教示、ありがとうとざいました! by かるだもん






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