河童が教えた薬!? 茨城県下に伝わる 河童の妙薬5つ(1)

2012年11月18日(日)18:00-18:30放送の FM84.2MHzラヂオつくば『つくば井戸端レポーター』での内容を再構築しております。
 ※ラヂオつくばは、インターネットでも聴けます。 聴き方→(ラヂオつくばHP)


河童が教えた薬!? 茨城県下に伝わる 河童の妙薬5つ (1)


さて、皆さん、河童って見たことありますか? 

茨城では、カッパ(河童)といえば、まず挙げられるのが、牛久沼です。牛久の夏祭りは『かっぱ祭り』ですし

…でも、『見たことある人』というと??

 ちなみに、左は遠野の『カッパ捕獲許可証』です。岩手県遠野市観光協会発行です。
 名刺サイズで、上が許可期間平成23年4月1日~平成24年3月31日、下が許可期間平成24年4月1日~平成25年3月31日のもの。
※だぁなさん(mda_abm)から頂きました。ありがとうございます。

 カッパ捕獲許可証の話題については、だぁなさんのブログを是非ご参照下さいませ。

 ・・・なお、もちろん牛久沼では使えません(笑)。
 また、捕まえた遠野のカッパを牛久沼で放してもいけません。生態系が崩れます(笑)

ところで、みなさん、「河童」とは何だと思いますか? 

いろいろ調べてみますと、『河童(カッパ)』だと言われるものは、

・よく分からない川や水辺に住む何かや現象原因=妖怪
・サル、カワウソ(ニホンカワウソは先日、絶滅種になってしまいましたが)、大きなスッポンを、妖怪として見間違った。
・あるいは昔祀られていた神様が信仰する人たちがいなくなって、妖怪にされてしまった。
・逆に、水の神様、水難避けとして祀られたり。 

・・・いろいろなものが長い時間習合して、いわゆる妖怪の『河童』になったようです。

さて、そういう川や水辺に住む何かの名称『河童』、これは全国的な名前でしょうか?

答えは"NO"

文献1によると、江戸時代前までには、いわゆる『河童』の概念は全国でバラバラだったそうです。
 水辺の妖怪として全国的には名前はいろいろ、目撃情報も、動物、妖怪(よく分からない現象)、人間などさまざまです。

 また『河童』という言い方はもともと江戸・関東地方での言い方が、当時の文人たちに使われて、現在の河童像にイメージが固定化されていき、現代になると、そのイメージが全国に広がっていったと考えられるそうです[文献1]。

 本来、全国的には、水辺の妖怪の名称には実に様々なものがあり、例えば
みずち(めどち)、がらっぱ、えんこう、かわこ、けんむん… などなど[文献1]。

 イメージも(目撃情報も?)、『頭に皿があって、甲羅があって、緑色でぬるぬるしていて、蛙みたいな顔で』とはかなり違う。
 ここでは、そういった謎の生物を『河童』と統一して呼びます。

 さて、全国の『河童』伝説によく見られるの特徴があります[文献2]。

 1、相撲を取る、 
 2.馬や子供を川や沼に引きづり込む。いたずら、悪さをする。 
 3.薬の作り方、接骨方法を教える などなど  

 河童は庶民にも一番親しまれている妖怪ではないでしょうか。そのためか茨城県内でもいろんな話が伝わっていますが、本日は特徴の3つ目に注目して、

茨城県内に伝わる『河童から教わって薬5つ』

ご紹介します。

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★茨城県内、『河童の妙薬』5つ★


(1) 岩瀬万能膏 (常陸大宮市 (旧)大宮町)

★話のあらすじ:
 天明年間(1781~1788)の頃、 上岩瀬の医者の真木了本(まきりょうほん)が、江戸方面からの帰りに牛久沼付近で、指(手?)らしいものを拾った。
 その夜、『その指(手)を返してほしい』という者が訪ねてきて、牛久沼に住む河童を名乗った。了本が返したところ、お礼に、切り傷・はれもの・膿出しに効果のある膏薬の作り方を教えた。
 故郷に帰った了本は、この河童から伝授された膏薬を売り出し、評判となった。代々真木家の夫人にだけ製法が伝えられているという。[文献2, 3, 4, 5]
 ちなみに真木了本は、日本で初めて麻酔を使った外科手術をした華岡青洲(1760-1835)の弟子。


 江戸から故郷へ向かって言った真木了本は、このあたりを
通ったのでしょうか。
 牛久沼 国道6号付近。水戸街道もこのあたりを通っていたはず。

膏薬を伝授した牛久沼付近で、同様の薬が伝わっているのか知りたいところです
 。まだ知られていない家伝薬があるのかもしれませんね。ご存知の方がいらしたら、教えて頂けると幸いです。   

 
エピソード

 岩瀬万能膏について、(冒頭、遠野のカッパ捕獲許可証を下さった)だぁなmda_abmさんより、
『今オフクロに聞いたら 使ったことは無いけど聞いたことはある と 丸くて小さい磁石のないピップエレキバンのようなロイヒツボ膏のような湿布薬らしいです 常陸大宮駅近くのカッパ大福もそこからでしょうか』
というお話を教えて頂きました。

 文献2によると、岩瀬万能膏は、二枚貝の貝殻やプラスチックの容器に入った軟膏のようですが、もしかすると、ロイヒツボ膏の様なタイプのあったのかもしれませんね。
 ※常陸大宮駅近くの、カッパ大福というスイーツ情報も、大変興味あります~。

さて、ここでクイズ1

 『岩瀬万能膏』は、おでき、腫れものなどの膿を吸い出すのに大変効いたそうで、どれだけ吸い出す能力が強かったかとうことで、むしろに岩瀬万能膏を塗って井戸に蓋をしたら、落ちた何かが吸い上げられた・・・という笑い話が残っているそうです。
さて、あまりの吸引力に、何が吸い上げられたのでしょうか。
 ヒント 大きな生き物(蛙とかではありません) 

答えは 次回 『茨城県下に伝わる 河童の妙薬5つ(2)』にて。


(2) 金創膏(那珂市(旧 那珂町)) 

 ★話のあらすじ:
 ある家の女性が厠(トイレ)で用を足していると、厠の中から手が伸びてきて、お尻を触る。気の強い女性は、次に厠に入る時に用心のために鎌を持って入ったら、また同じことが起きたので、その手を鎌で切るつけて切り取ってしまった。 
 翌日(数日後?)その手を返してほしいという老人が来て、「その話は誰にも言っていないのに、なんでそんなこと知ってるんだ」と追求すると、実は私がその河童で・・・ということで、返してくれたお礼に手をつなげる薬(または骨をつなげる方法)を教わって、子孫に伝えた。(文献6)

 この話は、実は埼玉・熊谷や、福島、岩手、静岡、九州などの大きな川付近で、全国に、ほとんど同じストーリーものが伝わようで(文献1,7)、那珂では『那珂川の河童が伝えた』となっています。

 さて、金創膏とは一般名称で、その昔、戦国時代など、兵士が刀や槍の金属で怪我をした時に治療のために貼った薬のことを言います。

武家は、金創医という戦地での医者を抱えていて、金創医は、医術と薬草の知識を持っていました。もともと僧侶(仏教の知識とともに中国から渡った薬草の知識、施術の知識も伝え知っている)の場合もあったようです。 
 
昔は河川が運輸・交通の要でしたから、河川を経由して、伝説と一緒に薬と薬を作る人が広がっていったのではないかと推測しますが、どうでしょうか。


(3) 筋渡し薬 (行方市(旧 玉造町)、小美玉市(旧 小川町)、石岡市)

★話のあらすじ: 
 室町時代の頃、芹沢の殿様が、馬に乗って梶無川にかかった橋を通りがかったところ、河童が馬をひきこもうとしたので、河童の手を殿様が切りおとした。その橋が、今の行方市芹沢の『手奪い橋』(県道116号)。 
 河童が泣いて謝ったので手を返したら、お礼に傷薬の作り方を教え、さらに毎朝、取れた魚2匹ずつを庭の木にかけていく約束をした。
 『魚がなかったら自分が死んだものと思ってくれ』とのことで、毎朝かかさず新鮮な魚が庭の木にかけられていた。
 しかし、ある朝魚がかかっておらず、心配した殿様が、河童を探させたところ、同じ梶無川の上流(小美玉市 旧小川地区)で手に傷がある河童が死んでいるのが発見され、憐れに思って、近くに河童を祀った。
それが小美玉市与沢の『手接ぎ神社』 
 [文献2, 3, 4, 8, 9,10 ]

・ 芹沢家に伝えられた河童の妙薬は、「筋渡し薬」として代々伝わり、江戸時代の時は、水戸藩からも由緒正しい薬としてお墨つきとなり、全国の諸大名にも愛用されて、お礼の手紙なども伝わっているようです。薬は、平成21年まで、石岡の医院で希望者にわけていたとのことです[文献2]。



・行方市芹沢の手奪い橋は、現在は幹線道路の橋となっていますが、橋の欄干に座禅をした河童の像があり、河童をモチーフにした絵もあります。また橋のたもとには、伝説を伝える看板もありました。

芹沢の集落には、新撰組の初代組長、芹沢鴨の生家もあります。
 その生家の入り口にも、『手接明神』と彫られた石碑がありました、

 手奪い橋 (梶無川) については、特急しらほshiraho_ef63 さんからも情報を頂きました。ありがとうございました!


小美玉市(旧小川町) 手接神社。
日本でも珍しい、河童を祀る神社。 手の病気・怪我の神様。
 
手の怪我、病気平癒の祈願はもとより、手を使う職業の方、是非ご祈願されるとよいのではないでしょうか


境内には立派な河童のレリーフも。
(なお、この河童は男性のようです(^m^))




神社の裏手に流れる小さな川(梶無川)の橋のたもとに、『河童漂着の地』という看板が氏子さん達によって掲げられ、伝説を伝えています。

   
さて、クイズ2

 手接神社に奉納されている絵馬は大変特徴的です。それは、何をかたどっているでしょうか?

 答え(証拠写真つき)は、次回 『茨城県下に伝わる 河童の妙薬5つ(2)』にて。

 
以下、続きます。お楽しみに  → 『茨城県下に伝わる 河童の妙薬5つ(2)』

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参考文献
1. 『怪異の民俗学3 河童』 小松和彦 責任編集 河出書房新社
2. 『平成23年 特別展 妖怪見聞』 茨城県立歴史館 編集・発行
3. 常陽藝文 2001年10月号
4. 『茨城の河童伝承』 岡村青 著 筑波書林
5. 『茨城の民俗 第7号』 茨城民俗学会
6. 『那珂の伝説 下』 大録義行 編 筑波書林
7. 『利根川のおばけ話』  加藤政晴 著 崙書房
8. 『日本の伝説37 茨城の伝説』 今瀬文也・武田静澄 著 角川書店
9. 『常陸の伝説』 藤田稔 著 第一法規
10. 『玉造町の昔ばなし』 堤 一郎 著 筑波書林

(初出 『つくば市民レポーター』サイト 2012年12月05日 22時37分)


掲載時に頂いたコメントと回答

* コメント

●吸い上げられたもの…もしかして千両箱、ですか?
幕末、尊王攘夷運動の資金集めだとかでどさくさに紛れて盗みをはたらく輩がいて、つかまりそうになって井戸に捨てたものが引き上げられたという話をどこかで聞いたような。
by Sage0715 at 12月6日 8時23分

 Sage0715さん、コメントありがとうございます! 答えはもうちょっとお待ちくださいませ(^^)(近日中に(2)をアップします ので)。
 井戸から尊王攘夷の頃の資金が引き揚げられたという話、あるんですね…というか、やっぱりありそうですよね。
 by かるだもん at 12月6日 18時21分

 Sage0715様、本日12/9に、クイズの答えも掲載した、『茨城県下に伝わる 河童の妙薬5つ(2)』(http://reporter.e298.jp/?module=blog&eid=19739&blk_id=12901)をアップしましたので、是非ご覧くださいませ(^^)
 by かるだもん at 12月9日 19時36分

●すっごい楽しい記事でした。かるだもんさんの目の付け所というか切り口はとても参考になります!ありがとうございます。
by いなモチ URL at 12月28日 14時13分いなモチさま

  お読みいただきありがとうございます!お褒め頂き、恐縮です(汗)。いろいろと調べれば調べるほど、わからないことも 多く、また私も頭も混乱しているため、いろいろ変な事を書いちゃっていると思いますが、今後とも精進していきたいと思っています。よろしくお願いいたします(^^)
  by かるだもん at 1月3日 16時26分


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徒然なるままに、興味のあることを気ままに書いています。好きなことばは「中途半端も、たくさん集まればいっぱい!」(ドラマのセリフ)

地元つくばや茨城の話題を中心に、茨城の食材を使った家庭料理、民俗学もどき、国際交流、旅の話題など、趣味の記事を掲載中。

特に自分の勉強も兼ねて、
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★茨城を中心に、全国の郷土料理と食材(世界の料理も含む)の話題
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